『メルマガNEWSポストセブン』では、ビートたけし、森永卓郎、勝谷誠彦、吉田豪、山田美保子…など、様々なジャンルで活躍する論客が、毎号書き下ろしで時事批評を展開する。本サイトでは9月28日に配信された33号より「勝谷誠彦の今週のオピニオン」を2回に分けて全文公開する。
かつて、菅原道真公は唐(中国)へ派遣していた使節団を894年に廃止した。いわゆる遣唐使の廃止である。その結果、日本に国風文化が生まれた。そして現代、中国との国交を回復して40年が経った。果たして日本はこの隣人からどれぐらいの恩恵を受けたのか。勝谷氏は「今の世に道真がいれば、『もうあんな国とはつきあわないでいい』と言うに違いない」と、中国との関係を絶つ選択について言及する。
* * *
もちろん一朝一夕に関係を絶てと言うのではない。それではケツをまくる子どものケンカだ。そうではなく、5年10年先にあの国とつきあわなくてよくなるように、長期的な計画をたてるべきではないか。かつて福沢諭吉は「脱亜入欧」と説いた。いま必要なのは「脱中入亜」だ。中国も亜細亜ではないかと首を傾げる向きがあるかも知れないが、私はかねてから中国と韓国、北朝鮮は亜細亜ではないと主張している。中華思想にゴリゴリに固まったあの連中と、のびやかな海洋亜細亜諸国とは別のものだ。そして、私たちがこれからなすべきは後者と手をとりあって中華の膨張主義に対抗していくことなのだ。
思えば菅原道真以降の日本史は、何度もそうしたことを繰り返してきた。日中友好を金科玉条とするここ40年ほどがむしろ特殊だったと言っていい。
既に賢い日本企業の多くは、中国から逃げ出している。今回のような騒ぎが起きるまだ前に、私は来日したミャンマーの与党のテー・ウー総書記とお目にかかった。彼の前にはひとこと交わそうと膨大な数の経営者たちが行列を作っていた。多くの企業では本能的に中国で商売することの危うさを感じているのだと感じた。盆踊りに興じていたような、頭の悪い財界首脳だけではないのである。
世界の工場と呼ばれる中国だが、私に言わせると「世界の『組み立て』工場」に過ぎない。製品の多くの中枢部分の部品は、日本製なのだ。この部品の輸出先の市場を、私たちはそれこそミャンマーのような亜細亜諸国へと積極的にシフトしていくべきだろう。売り上げは確保しつつ、中国に部品を売らずに締め上げていく。まだ自国の部品で高度な製品を作る力は中国にはない。
そうすることによって、現在押され気味な日本の家電メーカーなども息を吹き返す。一石二鳥にも三鳥にもなる戦略なのだ。
経済の結びつきは安全保障にも寄与する。海洋亜細亜諸国と同盟関係を結び、東シナ海、南シナ海を「日本と亜細亜の海」にすることは、アメリカの世界戦略にも合致するはずだ。
民主党や自民党の代表や総裁が決まり、総選挙もまもなく行われるだろう。
次の日本国のリーダーには、平成の菅原道真になって欲しい。