山下達郎のベストアルバムが初週で約28万枚と出だし好調だ。1970年代、80年代の青春をともに過ごしたファンにとっては嬉しい限りだが、果たして今の「青春世代」は山下達郎を知っているのか。さらに今年40歳になるキムタクをどう受け止めているのか。大人力コラムニスト石原壮一郎氏が「山下達郎と三波春夫、SMAPと『御三家』」に関する大人的考察をする。
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先日発売された山下達郎のベストアルバム「OPUS~ALL TIME BEST 1975-2012~」が、発売初週で27.6万枚を売り上げ、8日付オリコンアルバムランキングで初登場1位を獲得しました。中学生のころから彼の歌に親しみ、若かりし頃はあのクリスマスソングに胸をキュンとさせて、しかも奥さんの竹内まりやにも憧れた世代としては、いつまでも変わらない活躍ぶりに我がことのような嬉しさを感じてしまいます。
山下達郎はソロ・デビューして37年目の59歳。同じ世代のベテランとしては、松任谷由実も荒井由実としてデビューしてから41年目の58歳。桑田佳祐はサザンオールスターズとしてデビューしてから35年目の56歳。グッと若返ってSMAPだって、デビューして25年目で、キムタクは今年の11月で40歳です。
数字を見るとけっこうな迫力ですが、そんなに年月が経った気はまったくしません。何となく、いつまでもいっしょに青春時代を過ごしている気分を味わわせてもらっています。しかし、若い世代には、このあたりのベテラン勢はどう見えているのでしょうか。音楽が好きとかカッコいいと思っているとかは別として、違う世代の人という認識はあるはず。そのへんの「世代間ギャップ」の実感をつかむために、自分たちが若者だったころの「よく似たポジションの人」を探してみましょう。
現在50歳ぐらいの人たちが中高生だったのは、1970年代後半。その頃に時間を戻します。すでに風格のかたまりで遠い存在に見えていた美空ひばりは、デビュー30年ぐらいで40歳ぐらい。単純に比較すると、今のユーミンよりもフレッシュで若々しい存在だったと言えます。また、大御所の代名詞だった三波春夫は、その頃はデビュー30年ぐらいで50代後半でした。現在の山下達郎やサザンオールスターズのほうが、キャリア的にはそれ以上に“ベテラン”です。当時の自分たちが三波春夫を見ていた視線と、今の若者たちが山下達郎や桑田佳祐を見る視線は、もしかしたら通じるものがあるのかもしれません。
今のSMAPに似た立場だったのは、舟木一夫、橋幸夫、西郷輝彦のいわゆる「御三家」。舟木、橋は30代後半でデビュー17~18年、西郷は30歳そこそこでデビュー13~14年でした。当時の我々にとって「御三家」は押しも押されもせぬオッサンでしたが、今の中高生にとってのSMAP、あるいはキムタクも、そう見えているのでしょうか。うーむ、ちょっと違う気もするし、でも違うと言ってしまうと「御三家」の方々に失礼だし……。
ま、数字のお遊びと言ってしまえばそれまでですが、こうして比べてみると、いろいろ発見した気にはなれます。40代で堂々と「女子」を自称してらっしゃるみなさまにも、今の自分は、自分が小学生だった頃の五月みどりよりも年上なんだということにお気づきいただければと……いや、最後に余計なことを言いました。くわばらくわばら。