「ただじゃおかんぞコラァ!」「やってみろコノヤロー!」
マシンガンのように飛び交う怒号と罵声。まるで若き日の北野武監督が見せた「ツービート」の漫才かのようなスピード感と小気味よいテンポで、生きるか死ぬかを賭けたやりとりが繰り広げられる。圧倒的な迫力は、グイグイと「ヤクザの世界」という異次元に我々を引き込んでいく。
10月6日公開の『アウトレイジビヨンド』は、間違いなく北野映画史上「もっともセリフの多い作品」である。前作では登場人物たちの「酷い殺され方」ばかりに注目が集まったが、それを北野監督本人は「心外だった」と本誌に語った。計算し尽くされた脚本と無駄を削ぎ落とした編集。これこそ「世界のキタノ」の本領だからだ。
「今回、特に観てほしいのはヤクザ同士の罵り合いだよ。編集で間という間を詰めまくって、息もつかせないようなやりとりになってる。脚本も自信作だね。オープニングからクライマックスまでとにかく観客を裏切り続けてやるから」(北野監督)
豪華俳優陣が畳み掛ける「コノヤロー」と「バカヤロー」の快感に、ぜひ身を委ねて欲しい。
撮影■渡辺利博
※週刊ポスト2012年10月19日号