歴史を感じさせる場所が多い一方、おしゃれショップなども出店し、最近では観光客だけではなく若者からも人気を集めている古都・鎌倉。そんな注目スポットで、タイワンリスによる被害が急増、住民を悩ませている。
「正確な数は測りかねますが、毎年500匹は捕獲されているので、感覚としては鎌倉市だけで5千~1万匹以上はいるでしょうね」(鎌倉市の担当者)
神社、仏閣にたびたび出没し観光客の前では、愛嬌のある姿を見せているタイワンリスだが、2005年、特定外来生物に指定された外来種。放置しておくと在来生物に被害を与えたり、生態系に害を及ぼしたりする可能性があり、その被害はけっこう深刻だ。
電線や電話線をかじられる、店の商品を食べられる…ほかにも、山林や庭などの樹木の樹皮をはがされたり、果実を食べられるといったものも。いちばん多い被害は、家庭菜園をかじられたり、古い民家の戸袋をかじられたりするものだという。
「生存範囲は鎌倉以外にも広がっていて、三浦半島や、最近では横浜や川崎でも見つかっています。何も対策をせずにいると、生態系への影響は手遅れになってしまいますからね。餌として昆虫や鳥の卵も食べてしまいますし、餌がない冬は樹皮をはいで樹液を舐める。そのため、木が枯れてしまうなど環境が崩されてしまう懸念もあります」(前出の担当者)
タイワンリスが鎌倉に移入、定着した経緯ははっきりしていないが、飼育中だったものが人間の管理下を離れ、数が増えていったとみられている。ここ10数年で前述のような被害が急増。市では2009年から防除の取り組みを行い、市民に協力を呼び掛けている。
鎌倉といえば、人気ドラマの撮影が行われたり、多くの芸能人が住み始めたことで注目のスポット。小泉今日子が葉山に暮らしているほか、坂口憲二、中村獅童、GLAYのTAKURO・岩堀せり夫妻らは湘南に暮らしている。せっかく、おしゃれな街として注目を集めているのに、これでは人気に水を差してしまうのでは…。
「影響が出てしまうと困ってしまいますね。タイワンリスは人間に直接被害を与える動物ではないので、初めて見るかたはかわいいと思いますが、毎日のように何十匹もやってくると住民にとっては大変なことですから…」(前出の担当者)