最低でも日本人の10人に1が発症し、5人に1人がこれから罹患する可能性があるといわれている「花粉症」。来春の花粉飛散量は、関東や東北で今年の2~5倍という憂鬱な予測も出されたばかりだが、なにも花粉症は春だけ発症するとは限らない。
長年、花粉症で悩まされ、症状のひどい日には会社を早退するほどだという都内の男性会社員(40)はいう。
「例年、2月初旬から6月下旬までは外出時だけでなく、寝ている間もマスクとゴーグルが手放せなくなります。さらに、ここ数年は10月~11月でもくしゃみが止まらなくなる日があるんです。耳鼻科医院で検査したら、春のスギ花粉だけでなく、ブタクサやヨモギなど雑草類の花粉によるアレルギー反応が出ました」
この会社員はもう何年も春の花見に加え、秋の紅葉狩りにも出掛けていない。「対策グッズの出費は薬代を含めて毎年2万円以上」と困り果てている。
根本的な治療法が確立されていない中、薬局やドラッグストア、コンビニなどではありとあらゆる対策グッズが売られ、前出の会社員のように藁にもすがりたい患者たちの需要増を見込んで、前倒しで専用コーナーが設置され始めている。以下は最新の売れ筋グッズの一例だ。
【水なしでも服用できるフィルムタイプの鼻炎薬】【食塩水で洗う鼻腔洗浄器】【花粉を99%カットするフィルター付きマスク】【鼻の下に塗って花粉を吸着させるジェル】【鼻の穴を直接封印するノーズマスク】【花粉が付着しにくいコート】【扇風機に取り付ける花粉吸着フィルター】
花粉症に効くと宣伝されている食品類も挙げればキリがない。甜茶、べぶふうき緑茶、ヨーグルト、バナナ、りんご……。しかし、花粉症の症状も人それぞれで、ただちに効果をもたらすグッズや食品が少ないのも事実だろう。
そんな中、しっかりした科学的知見に基づいて効果が明確な商品にだけ「認証マーク」のお墨付きを与えようという動きが起きている。NPO法人の産学連携推進機構を中心に、サントリーやダイキン工業、武田薬品工業などの企業、産業技術総合研究所、理化学研究所といった公的研究機関、それに農水省や経産省ほか官庁も賛同して9月に設立された「花粉問題対策事業者協議会」がそれだ。
同協議会の担当者が設立の狙いを語る。
「これまで花粉対策活動は産官学ばらばらに行ってきたため、効果に統一した基準がありませんでした。マスクひとつ取っても、きちんと花粉除去率のデータを取った商品と、まったく裏づけのない商品が混在していました。そこで、協議会の参画メンバーがお互いに情報交換しながら、花粉症に悩む人たちが安心して商品を選べるようにしようというのが設立趣旨のひとつです」
最近では、中国など海外から極めて効果の疑わしい安価な花粉症グッズも数多く流入されている。
まだ協議会はスタートしたばかりで、認証マークの導入予定も決まっていないが、来春の花粉症シーズンには何らかの指針を示したいという。これにより、花粉症患者を惑わす“エセ商品”の撲滅につながるか、注目したい。