ライフ

若い男と熟女は知能指数の高い子を作る組み合わせと脳科学者

 最近は「熟女好き」を公言する芸人が続出するなど、「熟女ブーム」ともいえる状況になっている。そんな残暑の折、薄着の女性の胸元や脚につい目が行くこれが男の性と思いきや、「熟女好き」の頭の中はどうも違うらしい。「恋愛と脳」の分析を得意とする中野信子氏(医学博士)が脳科学的見地から解説する。

 * * *
 最近、特にお笑い芸人の方で「熟女好き」を公言する人が多く見受けられます。彼らはその理由について、「普段落ち着いている熟女がテレる仕草が可愛い」とか、「人生経験が豊富で話し上手」などと言います。

 一般的に、男性は「ウエストがくびれている」とか、「ヒップが大きい」など、視覚で魅力的な女性を選ぶもの。しかし、熟女が好きな方は「視覚以外」に魅力を感じている。芸人という職業柄、言葉にコンシャスなことが大きな理由でしょう。彼らの脳は女性との言語コミュニケーションを重視しているのです。

 これは本来ならば女性の性質です。女性が男性を選ぶ場合、必ずしも視覚優位ではなく、話の整合性や一貫性を重視します。女性は相手が父親としてやっていけるかを確かめる必要があるからで、子供を産む女性ならではの性質なのです。

 脳内で「好き嫌い」を決定するのは、側頭葉の内側奥にある扁桃体という部分です。扁桃体で「好き」と判断された感情が脳内に伝達される時、「A10」と呼ばれる神経細胞が作用します。A10細胞は快感神経とも呼ばれており、報酬系と呼ばれる脳の神経細胞「側坐核」や、中脳の一領域である「腹側被蓋野」を操作し、快楽を伝えるドーパミンを出します。この構造に男女差や個人差はありません。

 ただし、右脳と左脳をつなぐ「脳梁」の太さは男女で異なります。男性よりも女性が太く、そのため右脳と左脳の連携が密であり、会話でも、女性は脳全体の機能を幅広く使っています。女性のほうが口喧嘩で強いのは、そのためです。

 好きか嫌いかを判断するのに言語を重視するという点で、熟女好き男性の脳は「女性化」していると言えます。

 以前から熟女人気が根強いフランスでは「Jeu de mots(言葉遊び)」に価値を置いており、恋愛でも言語コミュニケーションを楽しみます。フランス人はよく「皺が1本増えるたびに魅力が増す」とか「女性は40歳から」と言いますが、フランス人と芸人さんには、熟女を好きな理由に「言語」という共通項があると言えるでしょう。

 また、男性の熟女好きは、賢い子供を育てる上で理に適っていることが、ある論文(※注)で明らかになりました。これによると、「若い男性と熟女のカップル」は知能指数の高い子供をつくる上でベストな組み合わせであるというのです。

 熟女の子供ほど知能指数が高いのは2つの要因が考えられます。1つは社会・経済的要因です。熟女は若い母親よりも知識や人生経験が豊富で、精神的にも経済的にも安定しているため、子供の面倒をよく見ることができる。もう1つには生物学的要因があると考えられていますが、これは研究途上です。

 視覚よりも言語コミュニケーションを重視する熟女好きの若い男性は、自分でも気づかないうちに、熟女に“賢い”子供を産み、育ててもらうことを求めているのかもしれません。

(※注)2009年、オーストラリアのジョン・マグラスらによる研究チームが学術雑誌「PLoS Medicine」で発表した論文。

※SAPIO2012年10月3・10日号

関連記事

トピックス

都内の人気カフェで目撃された田中将大&里田まい夫妻(時事通信フォト/HPより))
《ファーム暮らしの夫と妻・里田まい》巨人・田中将大が人気カフェデートで見せた束の間の微笑…日米通算200勝を目前に「1軍から声が掛からない事情」
NEWSポストセブン
浅草・浅草寺で撮影された台湾人観光客の写真が物議を醸している(Xより)
「私に群がる日本のファンたち…」浅草・台湾人観光客の“#羞恥任務”が物議、ITジャーナリスト解説「炎上も計算の内かもしれません」
NEWSポストセブン
新横綱・大の里(時事通信フォト)
《横綱昇進》祖父が語る“怪物”大の里の子ども時代「生まれたときから大きく、朝ご飯は2回」「負けず嫌いじゃなかった」
NEWSポストセブン
ブラジルを公式訪問されている秋篠宮家の次女・佳子さま(時事通信フォト)
《スヤスヤ寝顔動画で話題の佳子さま》「メイクは引き算くらいがちょうどよいのでは…」ブラジル訪問の“まるでファッションショー”な日替わり衣装、専門家がワンポイントアドバイス【軍地彩弓のファッションNEWS】
NEWSポストセブン
ヤクザが路上で客引きをしていた男性を脅すのにトクリュウを呼んで逮捕された(時事通信フォト)
《ヤクザとトクリュウの上下関係が不明に》大阪ミナミでトクリュウを集めて客引き男性を脅して暴力団幹部が逮捕 この事件で”用心棒”はどっちだったのか 
NEWSポストセブン
2013年大阪桐蔭の春夏甲子園出場に主力として貢献した福森大翔(本人提供)
【10万人に6例未満のがんと闘う甲子園のスター】絶望を支える妻の献身「私が治すから大丈夫」オリックス・森友哉、元阪神・西岡や岩田も応援
NEWSポストセブン
新横綱・大の里(時事通信フォト))
《地元秘話》横綱昇進の“怪物”大の里は唯一無二の愛されキャラ「トイレにひとりで行けないくらい怖がり」「友達も多くてニコニコしてかわいい子だったわ」
NEWSポストセブン
ミスタープロ野球として、日本中から愛された長嶋茂雄さんが6月3日、89才で亡くなった
長島三奈さん、自身の誕生日に父・長嶋茂雄さんが死去 どんな思いで偉大すぎる父を長年サポートし続けてきたのか
女性セブン
イギリス出身のインフルエンサーであるボニー・ブルー(本人のインスタグラムより)
金髪美女インフルエンサー(26)が “性的暴力を助長する”と批判殺到の「ふれあい動物園」企画直前にアカウント停止《1000人以上の男性と関係を持つ企画で話題に》
NEWSポストセブン
逮捕された波多野佑哉容疑者(共同通信)。現場になったラブホテル
《名古屋・美人局殺人》「事件現場の“女子大エリア”は治安が悪い」金髪ロングヘアの容疑者女性(19)が被害男性(32)に密着し…事件30分前に見せていた“親密そうな様子”
NEWSポストセブン
東京・昭島市周辺地域の下水処理を行っている多摩川上流水再生センター
《ウンコは資源》排泄大国ニッポンが抱える“黄金の資源”を活用できてない問題「江戸時代の取引金額は10億円前後」「北朝鮮では売買・窃盗の対象にも」
NEWSポストセブン
ブラジル公式訪問中の佳子さま(時事通信フォト)
《佳子さまの寝顔がSNSで拡散》「本当に美しくて、まるで人形みたい」の声も 識者が解説する佳子さま“現地フィーバー”のワケ
NEWSポストセブン