最近海外に留学する日本人が減少しているようだが、日本人は「内向き志向」が強いとも言われる。なぜそうなったのか。『ホンマでっか!?TV』でお馴染みの脳科学者・澤口俊之氏が脳科学の視点で分析する。以下は澤口氏の解説だ。
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サッカー選手や野球選手など、日本人の海外での活躍が目立つようになっています。日本人に限らず、活躍の場を求めて「あえて海外に出ていく」という人たちが持つ強い意志や志向には、進化的な要素が関与しています。
ヒトという種はひとつしかないのに、世界中に広く分布し、多くの民族があります。現生人類の祖先たちは、15万年ほど前まで、東アフリカに住んでいましたが、13万~15万年ほど前にアフリカ大陸全域に広がり、さらにヨーロッパ大陸、アジア大陸、中南米大陸へと広がっていって、その過程で言語も民族も多様になっていったのです。
これは、人と最も近い動物であるチンパンジー類との大きな違いで、彼らはいまだにアフリカの密林に留まっています。人類もアフリカに留まっていてもよかったはずですが、“外”へ出ました。
それは、人の性格や脳機能に理由があります。人は、新しい地域や物事を探求しようとする「新奇追求性」や「外向性」、「イノベーション(新しい工夫や、やり方)」という性質を持っています。
これらの性質を現生人類が持っていたからこそ、人類は世界中に広がり、現在では、地球どころか、月や火星、太陽系外へも乗り出そうとしているのです。このような性質は進化的なもので、遺伝性もあり、関係する遺伝子もいくつかあります。
日本人は、ユーラシア大陸の「極東」にまで進出してきたので、本来こうした遺伝的性質が強いはずですが、「島国生活」が数万年続いたせいで、保守的で移動を嫌うという性質に変化したようです。
その代わり、地震や台風などの自然災害が昔から多かったせいで、「団結力」や「助け合い“脳力”」、つまり「絆」が遺伝的に強いようです。
※女性セブン2012年10月18日号