整形大国・韓国の整形ブームは加速する一方だ。韓国人口5000万人に対し、美容整形クリニックは4000軒を超える。
両親が娘の大学入学祝いや成績がいいごほうびに整形をプレゼントするケースが増えている。化粧と同様、身だしなみの一部だという人も多い。
故ノ・ムヒョン前大統領も大統領選前にまぶたの二重切開手術をしたと公言。芸能界においては「していない」というと非難され、逆にカミングアウトすると「美意識が高い」と好感度が上がるという。
近年、女性歌手グループKARAのク・ハラをはじめ整形を公言する芸能人が増えたことで最近はさらに低年齢化が進み、この夏休みには卒業アルバム撮影前に手術をしたいという中学3年生が整形クリニックに殺到。成長期に手術を受ける危険性について韓国政府が冊子を作成するという社会現象にまでなっている。
元クラリオンガールで美容ジャーナリストの上田祥子さんはこう分析する。
「韓国人には“自分たちは美意識が高い”という自負があり、外見は非常に重要視します。ただ実際には、整形手術が増えたきっかけは“きれいになりたい”というだけではなく、ここ10年にわたる就職難など経済不況があります。外見を変えることで、就職や結婚に少しでも有利になればと手術を受けるケースも多いんです」
名門大学卒業者の就職率も30%前後という厳しい現実のなか、必要な最終手段として整形を選択するしかない現実があるという。
目を二重にする、鼻を整えるという手術は基本中の基本、いまの流行は童顔で、頬やおでこをふっくらさせている女性が街中でも目立つ。さらには顔だけではなくスタイルを求める傾向も加速。脚の整形手術も決して珍しくない。
撮影■藤岡雅樹
※週刊ポスト2012年10月19日号