ぶっちぎりで優勝した巨人軍。強さとともに目立ったのが原辰徳監督の珍発言なのだが、今となっては、わからないのは言葉だけではない。
移動の際の新横浜駅でのこと。ホームに上がると停まっていたのは、ドクターイエローと呼ばれる黄色い車体の新幹線。鉄道マニアの間では“見れば幸福になる”との都市伝説もある線路点検用車両だった。この車両が若大将の中の“何か”に触れた。
「黄色い新幹線だ!」
突然はしゃぎ始めた54歳に記者たちは仰天。この人にはこんな趣味があったのか。ともかく、これはいい記事になる――そう思った記者は“幸せを呼ぶ車両”のことを教えてあげた。だが、返ってきた反応は意外なものだった。
「あ、そう。珍しいとは思ったけど、特に幸せとは感じなかったなァ」
え、あんなにはしゃいでいたのに? 肩透かしをくらった報道陣だったが、その後日のマツダスタジアムで、目を疑う光景を目にする。試合開始前にレフトスタンド後方を黄色い新幹線が通過したその時、
「ラッキー! ラッキー!」
そこには、一人大はしゃぎする原監督の姿があった。
※週刊ポスト2012年10月19日号