10月2日、流通ジャーナリストの金子哲雄さんが41才の若さで亡くなった。金子さんが連載をしていた女性セブンの記者が、闘病の様子をレポートする。
金子さんによれば、咳が続いた昨年6月、医者のすすめで念のために胸のレントゲンを撮ったところ、大きな腫瘍が発見されたのだという。
正式な病名は、肺カルチノイド。10万人に1人しか発症しないという難病で、なかでも金子さんの症例は数百万人に1人というもの。いわば末期のがんのような状態だった。
よりによってなぜ自分なのか。自分が何か悪いことをしたというのか──判明当初は、涙が止まらないこともあったと金子さんは語っていた。
「ただ、仕事をしているとき、その間だけは忘れることができた。仕事をすべて降板し、治療に専念したら、自分が自分でなくなってしまう気がしました。病気がわかって以降、仕事の喜びが増したんです。毎回、『この仕事が最後かもしれない』と思って仕事に臨むので、今まで以上に、全力で取り組むことができました」(金子さん)
仕事と治療の両立はしばらくうまくいっているように見えた。しかし今年の3月、肺気胸になり急遽、オペを受ける。手術は無事に終えたものの、肺に負担がかかるため、以降、飛行機による移動はNGになってしまったという。
現場主義を貫いていた金子さんは、自分の足で情報を拾うことを信念にしていた。テレビ出演の際は、スタジオのコメントだけでなく、ロケにこだわった。ところがそのロケに行けない。
「ロケどころか、自分は病室から一歩も出られない。ディレクターさんやADのかたがたが寝ずに準備してくださっているのにと思うと、悔しくて、悔しくて、4日間起きている間はずっと泣き続けました」(金子さん)
※女性セブン2012年10月25日号