いま韓国は政府が整形や美容業界に力を入れている。というのも、2011年の韓国の「医療観光収入」は過去最高の1億1600万ドルに。5年前の5900万ドルと比べ倍以上となった。さらに整形に力を入れ、外国観光客を引き寄せようという狙いがある。
「医療観光」というのは、美容整形手術目的の観光。
美容整形クリニックが多いソウルの江南地区では、中国語、日本語などの通訳を常駐させる店舗を増やし、旅行会社とともに「整形ツアー」や「健康診断」といった医療観光コースを開設。美容や整形だけでなく、観光や買い物客を誘致している。
日本と中国に多くの顧客をもつipsコリアコンサルタントの社長・チョウ・ウネさんはいう。
「好景気を受けて、中国からのお客様が急増しています。追って日本のお客様です。中国人は、タレントの写真を持って、ほとんどが顔をガラリと変えたがりますが、日本人は脂肪吸引などのわからない部分から始めて、自然の範囲での変化を求めます。ご主人に内緒という方もいらっしゃいます」
空港に出迎え、ホテルへも送迎。整形部位からクリニック選びまで相談し、施術中まで付き添う「整形ツアー」はとくに日本の主婦層からの人気が高く、竹島問題で揺れるこの時期も多くの日本人客が訪れていた。
その一方、トラブルも増えている。高須クリニックの高須克哉院長は警鐘を鳴らす。
「まずは言葉の壁は大きい。微妙なニュアンスが伝わらず、帰国して当院に駆け込む方も少なくない。また整形手術はアフターケアが最も重要。通える場所で受けることが大切で、その危険性をきちんと理解してほしい」
撮影■藤岡雅樹
※週刊ポスト2012年10月19日号