国内

百数十年間先進国であった日本 中韓にはない知恵と経験あり

 国際情報誌・SAPIOが11月号で『いまこそ日本人の「誇り」と「自信」を謳い上げる。中国よ!韓国よ!「ニッポンの覚悟」』との大特集を打ち出した。その狙いは何か、以下は同特集の巻頭言だ。

 * * *
 文明と人間が、そして国家が進歩するものならば、かつての日本人にできたことが、今できないはずはない。

 長く泰平が続いた封建社会から近代国家を築いて百数十年、日本は「三度目の建国」を迫られている。最初の建国は、もちろん明治維新だった。

 日本近現代史の第一人者である東京大学名誉教授の鳥海靖氏は、維新の立役者をこう評す。

「いわゆる維新の三傑は、それぞれ違う分野で能力を発揮した。西郷隆盛は軍事面でリーダーシップを示し、薩長同盟を結んで倒幕を実現した。大久保利通は政治交渉、宮廷工作に長じ、国家建設と後進の育成に力を注いだ。木戸孝允はアイディアに富み、廃藩置県など新政府の政策を打ち立てた。  三人は違うタイプだったが、迫る欧米列強に対する強い対外危機意識を共有していた。彼らが協力しなければ維新は成し遂げられなかっただろう」

 二度目の建国は焼け野原の敗戦からだった。ここでも牽引役はいた。

「吉田茂は気概を持った政治家だった。戦前は外交官として陸軍と衝突し、排斥もされたが、戦後は国の立て直しに奔走した。日本にまず必要なのは経済発展であると目標を据え、朝鮮戦争でアメリカから再軍備を求められた際にはそれを最小限に抑えた。そして、池田勇人や佐藤栄作といった有能な若手官僚を抜擢して育てたことも大きい。このあたりは大久保とも似ていた」(鳥海氏)

 そして平成の日本は、外敵によるのではなく、「自らの意思で国を作り替えること」を初めて求められている。より一層、日本人の力量と覚悟が問われる改革である。リーダーとなる「平成の三傑」はもちろん必要だ。しかし傑物が生まれるのは、国民があまねく参加して育む豊穣な知性の海があってこそだろう。

 明治維新から遡る黒船来航の折、ペリー総督は日本人を驚かせて屈服させようと蒸気機関や大砲を見せつけた。すると浦賀奉行所の与力・中村三郎助は、それが「蒸気機関車と同じ仕組みである」「大砲の型は××である」と正確に指摘し、ペリーが示した地球儀を指さして、ワシントンとニューヨークの場所を言い当てた。日本人の知識と科学技術のレベルに驚いたアメリカは、他のアジア諸国のように日本を植民地にすることは無理だと悟ったのである。

 その当時、列強にいいように支配された中国や韓国は、いまや日本に迫り、凌ぐ国力を持とうとしている。しかし、百数十年にわたって世界の先進国家であった日本と日本人には、彼らにはない知恵と経験がある。新しい国を作る主役は、われわれ日本人一人ひとりでなければならない。

「経済立国に邁進したことは、基本的には正しかったが、一方でアメリカに防衛を丸投げし、偏った国になってしまった。日本には自助努力が必要だ。厳しい国際社会で生き抜くには責任感あるリーダーと、危機意識を持った国民の存在が不可欠だ。民主主義の時代になって、国民の責任はずっと重くなったはずなのだから」(鳥海氏)

 今こそ、ニッポンの覚悟を示す時だ。

※SAPIO2012年11月号

関連キーワード

関連記事

トピックス

女優の広末涼子容疑者が傷害容疑で現行犯逮捕された(左/時事通信フォト)
広末涼子の父親「話すことはありません…」 ふるさと・高知の地元住民からも落胆の声「朝ドラ『あんぱん』に水を差された」
NEWSポストセブン
筑波大学の入学式に出席された悠仁さま(撮影/JMPA)
悠仁さま、入学式で隣にいた新入生は筑附の同級生 少なくとも2人のクラスメートが筑波大学に進学、信頼できるご学友とともに充実した大学生活へ
女性セブン
漫画家・柳井嵩の母親・登美子役を演じる松嶋菜々子/(C)NHK 連続テレビ小説『あんぱん』(NHK総合) 毎週月~土曜 午前8時~8時15分ほかにて放送中
松嶋菜々子、朝ドラ『あんぱん』の母親役に高いモチベーション 脚本は出世作『やまとなでしこ』の中園ミホ氏“闇を感じさせる役”は真骨頂
週刊ポスト
都内にある広末涼子容疑者の自宅に、静岡県警の家宅捜査が入った
《ガサ入れでミカン箱大の押収品》広末涼子の同乗マネが重傷で捜索令状は「危険運転致傷」容疑…「懲役12年以下」の重い罰則も 広末は事故前に“多くの処方薬を服用”と発信
NEWSポストセブン
『Mr.サンデー』(フジテレビ系)で発言した内容が炎上している元フジテレビアナウンサーでジャーナリストの長野智子氏(事務所HPより)
《「嫌だったら行かない」で炎上》元フジテレビ長野智子氏、一部からは擁護の声も バラエティアナとして活躍後は報道キャスターに転身「女・久米宏」「現場主義で熱心な取材ぶり」との評価
NEWSポストセブン
人気のお花見スポット・代々木公園で花見客を困らせる出来事が…(左/時事通信フォト)
《代々木公園花見“トイレ男女比問題”》「男性だけずるい」「40分近くも待たされました…」と女性客から怒りの声 運営事務所は「男性は立小便をされてしまう等の課題」
NEWSポストセブン
元SMAPの中居正広氏(52)に続いて、「とんねるず」石橋貴明(63)もテレビから消えてしまうのか──
《石橋貴明に“下半身露出”報道》中居正広トラブルに顔を隠して「いやあ…ダメダメ…」フジ第三者委が「重大な類似事案」と位置付けた理由
NEWSポストセブン
小笠原諸島の硫黄島をご訪問された天皇皇后両陛下(2025年4月。写真/JMPA)
《31年前との“リンク”》皇后雅子さまが硫黄島をご訪問 お召しの「ネイビー×白」のバイカラーセットアップは美智子さまとよく似た装い 
NEWSポストセブン
異例のツーショット写真が話題の大谷翔平(写真/Getty Images)
大谷翔平、“異例のツーショット写真”が話題 投稿したのは山火事で自宅が全焼したサッカー界注目の14才少女、女性アスリートとして真美子夫人と重なる姿
女性セブン
フジテレビの第三者委員会からヒアリングの打診があった石橋貴明
《中居氏とも密接関係》「“下半身露出”は石橋貴明」報道でフジ以外にも広がる波紋 正月のテレ朝『スポーツ王』放送は早くもピンチか
NEWSポストセブン
女優の広末涼子容疑者が傷害容疑で現行犯逮捕された
〈不倫騒動後の復帰主演映画の撮影中だった〉広末涼子が事故直前に撮影現場で浴びせていた「罵声」 関係者が証言
NEWSポストセブン
現役時代とは大違いの状況に(左から元鶴竜、元白鵬/時事通信フォト)
元鶴竜、“先達の親方衆の扱いが丁寧”と協会内の評価が急上昇、一方の元白鵬は部屋閉鎖…モンゴル出身横綱、引退後の逆転劇
週刊ポスト