今年5月、東京女学館大学(東京都町田市)は慢性的な学生不足で経営状況が悪化し、約25億円もの累積赤字を抱えた結果、来春の新入生募集を停止、2016年3月をもって閉校すると発表した。
東京女学館大学に起きた現実は、氷山の一角といえるかもしれない。実は私立大学の多くが、同様の問題を抱えているのだ。
少子化の進行で18才人口は1992年の205万人から現在は120万人程度まで激減した。一方で規制緩和の影響もあり、1992年度に523校だった4年制大学は、2011年度に780校まで増加した。
「大学全入時代」といわれるなか、大学経営は厳しさを増す一方で、2008年のリーマン・ショック時は駒澤大学、慶應義塾大学など有名校でも巨額の財務赤字が発覚した。さらに2010年度には、LEC東京リーガルマインド大、愛知新城大谷大など5つの大学が相次いで学生募集を停止し、「異常事態」といわれた。
また、覚せい剤事件で逮捕された女優・酒井法子(41才)が入学したことで話題を集めた創造学園大学(群馬県、学校法人堀越学園)でも経営悪化が表面化し、群馬の本校は今春入学者がおらず、ゼロという事態に。10月3日には文科省による聴聞が開かれ、解散命令を出す方針が固められたばかりだ。
ある地方私立大学の職員が打ち明ける。
「論文や面接だけでほぼ確実に合格できる『指定校推薦枠』ってありますよね。実は今、関東や関西の上位校といわれる大学でも、推薦枠が余っています。大学入試はそれほど“売り手市場”なんです」
教育ジャーナリストの友野伸一郎さんが言う。
「最新の調査では、私立大学の46%が定員割れしています。(18才人口がさらに減る)2018年には大学受験対象者の人数がさらに激減し、閉校の危機に直面する大学が増えるでしょう。自分の子供がその危機に巻き込まれないためにも、これからの大学選びは慎重になるべきです」
※女性セブン2012年10月25日号