周辺国との間で領土を巡る緊張が高まっている。元航空幕僚長の田母神俊雄氏は、領土を守るためには米国に頼るのではなく、自衛隊を増強しなければならないと指摘する。田母神氏は、現時点で中国は日本を凌駕するほどの軍事力を保有していないと分析している。では、竹島の場合はどうか。
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韓国に実効支配されている竹島の場合は、早期の奪還は難しい。長期戦を覚悟し、国際司法裁判所での解決を訴え続けるしかないだろう。
ただ緊急時に日韓がドルなど外貨を融通し合う総額700億ドル(約5兆5000億円)の通貨交換(スワップ)協定は即刻破棄すべきだ(日韓両国は570億ドル分の通貨スワップ協定の拡大措置を10月末で終了することを決定。通貨スワップの規模は130億ドルに減り、2008年の金融危機以前のレベルとなった)。
毅然とした態度を取らなければ、韓国の主張を追認していると国際的に受け取られかねないからだ。
そして国際社会では軍事力がなければ何の発言力もないし、世界を動かすこともできないという厳しい現実を、日本国民は認識すべきである。よく「対話で」とか「話し合いで」とか言われるが、軍事力が均衡していなければ対話も話し合いも成立しない。
中国はこの20年間で軍事費を前年比2桁増加させてきた。一方で自衛隊は予算を削減され続けている。この状態が今後10年間続けば、日中の軍事バランスは根底から逆転する。中国が尖閣を奪いに来ても、日本は拱手傍観するしかなくなるのだ。今なら間に合う。領土を守るために早急に自衛隊を増強すべきである。
※SAPIO2012年11月号