秋のG1シーズンに入り盛り上がる競馬界。そんな中、最強馬の背中を巡る戦いが激しさを増しそうだ。
10月7日に行なわれた競馬の最高峰「第91回凱旋門賞」(パリ・ロンシャン競馬場)で2着に惜敗したオルフェーヴル。不利な大外枠出走、59.5キロという負担重量、重い馬場、幾つもの不利な状況のなか、最後の直線でみせた「伝家の宝刀」大外一気は、“負けて強し”を世界に印象付け、「来年こそは」とファンを期待させるに十分だった。
「池江調教師は来年もチャレンジしたいといっていますが、来年の凱旋門賞に出走するかどうかは、同時に今後の騎手問題に直結してきます」(スポーツ紙・競馬担当)
オルフェーヴルにはデビュー以来のパートナーである池添謙一騎手(33)がいる。しかし、今回は海外での実績がないことなどから、鞍上がスミヨン騎手(ベルギー・31)に乗り替わったという経緯がある。非情だが競馬界ではよくあることだ。
タップダンスシチーで凱旋門賞に挑戦(2004年)したこともある佐々木晶三調教師はこう語る。
「確かにずっと乗ってる騎手は馬のクセも分かる。でも、世界の舞台はケンカのような所。馬のことを分かっているばかりでは勝てないんです」
確かに陣営としては、勝つための最善の策だったに違いないが結果は2着。
「いまだに乗り替わりは失敗だった。池添だったら勝っていたという人も多いんです。次こそは池添騎手で挑戦してほしい。日本馬と日本人騎手での偉業達成が見たいというファンは多いはず」(前出・競馬担当)
オルフェーヴルの次走は、ジャパンカップか、有馬記念といわれている。
今年は、スミヨン騎手も2年ぶりに短期免許を取得し、日本で騎乗することになっている。オルフェーヴルがターフに勇姿を見せた時、その背中にいるのは一体誰なのだろうか。
※週刊ポスト2012年10月26日号