2014年から消費税率が8%に引き上げられる見通しとなった。時を同じくして、復興増税や社会保険料の引き上げなど国民の負担増が相次ぐため、日本経済の先行きは暗い、と経済アナリスト・森永卓郎氏は分析する。では、このシナリオが覆ることはあり得ないのか。以下、森永氏の分析だ。
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別のシナリオも考えられなくはありません。消費税増税は、実際の引き上げの6か月前のタイミングで、断行するかどうかを決定することになっているのです。まずは8%への引き上げが予定されている2014年4月の6か月前、2013年秋の段階で、時の政権が実施のスイッチを押すかどうかにかかっているわけです。
逆にいえば、2013年秋の時点での政権が了承しなければ、消費税は上げられないのです。そこで、私は、民主党の小沢一郎グループと橋下徹・大阪市長率いる大阪維新の会、みんなの党、減税日本などが「第三極」として手を組めば、政権を奪取する可能性がある。そうなれば、消費増税は阻止されるというシナリオを描きました。
しかし、今やそのシナリオも実現は望み薄となりつつあります。小沢グループは民主党を飛び出して、新たな政党をつくりましたが、選挙支援母体である「連合」に見捨てられ、資金源も選挙基盤も失ってしまっています。橋下大阪市長も、脱原発の姿勢がブレたことにより、一時の勢いを失っています。
こうした情勢から、「第三極」ができたとしても政権奪取の可能性は非常に小さくなったと考えています。小沢グループを除いた民主党と自民党、公明党が消費増税で手を組んだことから、2013年秋の時点で誰が総理大臣の座についているかはわかりませんが、現状では消費増税推進派の政権により、増税スイッチが押される可能性は極めて高くなっていると思います。
※マネーポスト2012年秋号