不況で就職難がニュースとなる現在、大学選びの基準のひとつが就職率の高さだが、注意すべき点もあると話すのが学校情報を提供する大学通信・常務取締役の安田賢治さん。
「大学のパンフレットに掲載される“就職率”は“就職希望者”を分母にして算出した数であることが多く、“就職希望者”以外の就職できなかった学生が考慮されていない。必然的に9割を超えることがあります。数字に疑問を感じたら学校に質問しましょう」
近年は大学の果たすべき役割も大きく変わった。従来の“大学観”は通用しないと教育ジャーナリストの友野伸一郎さんは主張する。
「進学率が低かった昔は『大学入学』という事実があればよく、福祉や医療など資格が取れる大学・学部以外は、何を学んだか問われなかった。4年間遊んでいてもよかったわけです。企業側が学生に求めるのは基礎的な学力のみで、就職後に企業が学生を鍛えて育てました。ところが今は企業に余裕がなくなり、大学がきっちりと学生を育てることを望んでいます」
2人に1人が4年制大卒となった現在、企業が求めるのは、“コミュニケーション能力やクリエーティブな才能がある人材”だという。そこで必要となるのが大学の“教育力”だ。それは授業に表れると友野さんは語る。
「これからの時代に必要な能力の教育に力を入れている大学は、大教室で教員が一方通行で講義するのではなく、学生にディスカッションやプレゼンをさせる双方向の授業を少人数で行います」(友野さん)
履修要項などを取り寄せれば、そうしたカリキュラムを組んでいるかどうか調べることが可能だ。もしわからなければ直接質問し、それに答えてくれる大学こそ、信頼できると友野さんは言う。
“教育力”はブランドにとらわれない。知名度が低くとも、地方にはキラリと光る大学があると安田さんは指摘する。
「今は地方大学も見直されています。たとえば東北女子大は家政系、群馬パース大は医療系で高い就職率を誇ります。両校とも全国的な知名度は高くありませんが、1学年100人前後なので手厚い就職フォローができるんです。
有力な地方大学で手に職をつけたり資格を取れば、卒業後に都会で働ける可能性が広がります」(安田さん)
※女性セブン2012年10月25日号