ここ近年、なでしこJAPANや火の鳥NIPPONなど女性アスリートの活躍に注目が集まっている。彼女たちがここまで活躍できた理由とは? 『ホンマでっか!?TV』でお馴染みの脳科学者・澤口俊之氏が脳科学の視点で分析する。以下は澤口氏の解説だ。
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私もこの夏、ロンドン五輪で日本のアスリートたちの活躍を楽しんだひとりですが、ロンドン五輪の日本のメダル総数は、男性が21個、女性は17個と男性のほうが少し多い結果に終わりました。金メダル数は、女性が4個、男性は3個と女性が1個だけ多い結果です。このようにメダル数だけをみると、男女の差はあまりないといえます。ところが、女性選手の活躍のほうが皆さんの目や心に焼きついたようです。それは、彼女たちの笑顔と、涙にインパクトがあったせいでしょう。
そこで今回は、「女性アスリートの活躍」に、脳科学的に注目してみましょう。
具体的には、女性選手が感情的ストレスをどのように調節して試合に臨んだのかということです。
感情的ストレスやホルモンバランスがうまく調整できると、元気で前向きになれます。この「元気」や「前向き」の真逆にある精神疾患がうつ病です。うつ病の発症率は女性が男性の2~3倍多いことがわかっています。その理由は、感情に深く関係する「扁桃体」という脳領域が、女性は男性よりも小さいからです。そのため、女性は男性より「感情的ストレス」に弱くなり、特に、人間関係の軋轢などが苦手なようです。
その解決策として女性は、無意識に(つまり進化的に)、同年代で境遇が似た女性たちとボンド(結合・同盟)を作ります。
この「仲良しグループ」での雑談(特に自分たち以外の悪口やゴシップなど)がストレス解消の糸口になるのです。もちろん、仲良しグループ内での仲の良い関係も、安定した感情の維持にとても重要です。
女性にはもともとこのような特徴があるため、オリンピック日本代表も、女性選手同士で「ボンド」をうまく作って、試合に臨んできたはずです。それがまさに「団結」となりました。
ところが、せっかく仲良しグループを作ったのに、その中で自分が目立ちたいと思うのも、また、女性の特徴のひとつ。試合などでは、女性のこの特徴がプラスに働いてそれぞれが活躍しようとし、良い成績を残せるのでしょう。
日常においてこの特徴が表れると、いわゆる「抜け駆け」となり、争いが起きます。例えば、仲良しグループにいながら、男性を巡って、自分が勝とうとします。また、子供のお受験の場面などでもその傾向が出てきます。
※女性セブン2012年10月25日号