国内

一色正春氏 都の尖閣購入にお手上げの中国を日本政府が救った

 尖閣諸島周辺海域で多数の中国船が遊弋(ゆうよく)している。すでに日本の漁場が奪われ、このままでは日本の実効支配すらおぼつかなくなる。尖閣防衛はどうすべきか。元海上保安官の一色正春氏が提言する。

 * * *
 中国は1992年に中華人民共和国の領海及び隣接区域法(領海法)により、尖閣諸島を中国の領土としたうえで、2010年3月、同諸島を国の管理下に置く中華人民共和国海島保護法を施行した。つまり、日本に先駆けて尖閣諸島を国有化したのだ。

 その時点で日本政府は何ら有効な対抗措置をとらず、形だけの抗議しかしなかった。その結果、中国の尖閣諸島に対しての領有や国有化が中国国内で正当化され、今日の猛反発に繋がっているのである。

 今回、東京都は尖閣購入計画の中で、具体的な島の活用方法を検討していた。それに対して、中国側は打つ手がなくギブアップ寸前だった。だが、あろうことか日本政府が救いの手を差し伸べたのである。国有化で東京都の計画を阻むと同時に、島に構造物を作らないと公言したおかげで、中国側としては安心して日本に威嚇行動をとれるようになった。

 まずこの認識を出発点としなければ、今後の対応策を間違えてしまう。前提として大事なことは、誰が島を所有するかということではなく、どう活用していくかということなのである。しかし、それ以前に中国に奪われている尖閣諸島の海を日本に取り戻すことが喫緊の課題である。

 付近海域は長年、不法侵入者を検挙してこなかったため、中国漁船が跋扈し、日本人漁師の生活の場である漁場が奪われている。まずは現行法の厳格な適用をもって中国漁船を取り締まり、条約の改正などを含めて日本が水産資源をコントロールできるようにしなければならない。

※SAPIO2012年11月号

関連キーワード

関連記事

トピックス

お笑いコンビ「ダウンタウン」の松本人志(61)と浜田雅功(61)
ダウンタウン・浜田雅功「復活の舞台」で松本人志が「サプライズ登場」する可能性 「30年前の紅白歌合戦が思い出される」との声も
週刊ポスト
4月24日発売の『週刊文春』で、“二股交際疑惑”を報じられた女優・永野芽郁
【ギリギリセーフの可能性も】不倫報道・永野芽郁と田中圭のCMクライアント企業は横並びで「様子見」…NTTコミュニケーションズほか寄せられた「見解」
NEWSポストセブン
「みどりの式典」に出席された天皇皇后両陛下(2025年4月25日、撮影/JMPA)
《「みどりの式典」ご出席》皇后雅子さま、緑と白のバイカラーコーデ 1年前にもお召しのサステナファッション
主張が食い違う折田楓社長と斎藤元彦知事(時事通信フォト)
【斎藤元彦知事の「公選法違反」疑惑】「merchu」折田楓社長がガサ入れ後もひっそり続けていた“仕事” 広島市の担当者「『仕事できるのかな』と気になっていましたが」
NEWSポストセブン
ミニから美脚が飛び出す深田恭子
《半同棲ライフの実態》深田恭子の新恋人“茶髪にピアスのテレビマン”が匂わせから一転、SNSを削除した理由「彼なりに覚悟を示した」
NEWSポストセブン
保育士の行仕由佳さん(35)とプロボクサーだった佐藤蓮真容疑者(21)の関係とはいったい──(本人SNSより)
《宮城・保育士死体遺棄》「亡くなった女性とは“親しい仲”だと聞いていました」行仕由佳さんとプロボクサー・佐藤蓮真容疑者(21)の“意外な関係性”
NEWSポストセブン
卵子凍結を考える人も増えているという(写真:イメージマート)
《凍結卵子の使用率1割弱の衝撃》それでも「高いお金を払って凍結したのに、もったいない」と後悔する人は“皆無”のワケとは《増加する卵子凍結の実態》
NEWSポストセブン
過去のセクハラが報じられた石橋貴明
とんねるず・石橋貴明 恒例の人気特番が消滅危機のなか「がん闘病」を支える女性
週刊ポスト
女優の広末涼子容疑者が傷害容疑で現行犯逮捕された(写真は2019年)
《広末涼子逮捕のウラで…》元夫キャンドル氏が指摘した“プレッシャーで心が豹変” ファンクラブ会員の伸びは鈍化、“バトン”受け継いだ鳥羽氏は沈黙貫く
NEWSポストセブン
大谷翔平(左)異次元の活躍を支える妻・真美子さん(時事通信フォト)
《第一子出産直前にはゆったり服で》大谷翔平の妻・真美子さんの“最強妻”伝説 料理はプロ級で優しくて誠実な“愛されキャラ”
週刊ポスト
「すき家」のCMキャラクターを長年務める石原さとみ(右/時事通信フォト)
「すき家」ネズミ混入騒動前に石原さとみ出演CMに“異変” 広報担当が明かした“削除の理由”とは 新作CM「ナポリタン牛丼」で“復活”も
NEWSポストセブン
万博で活躍する藤原紀香(時事通信フォト)
《藤原紀香、着物姿で万博お出迎え》「シーンに合わせて着こなし変える」和装のこだわり、愛之助と迎えた晴れ舞台
NEWSポストセブン