「エゴサーチ」とは、自分の名前をグーグルなどの検索サイトで検索して、自分に対する評判を確かめる行為を指す。広義には、自分の所属する会社、同僚や家族、友人の名前や、仕事上の取引相手など、自分に関係する人物を検索する行為までが含まれる。誰でも、自分はもちろん、関係する人物・会社などの評判が気になるものだ。事実、ネットユーザーの6割以上が、エゴサーチの経験があると答えたという統計もある。
クリック一つで評判が分かるのだから、便利といえば便利だ。だが同時に、ネット社会の陰惨な暗黒面を浮き彫りにするものでもある。以下、エゴサーチによって生じた、2つの事例を紹介しよう。
■55歳男性(会社員)
「自分の名前を検索すると、かつて取材を受けた新聞記事が出てきた。新店舗を出店した際、店長だった自分がコメントしたもの。記事自体は大した内容ではなかったが、ある掲示板で取り上げられていた。それを読んだユーザーによるレス(返信)がひどかった。
大型店舗だったので、建設段階で地元の反対運動が起きた。おそらくその運動員が書き込んだのだろう、私に対する誹謗中傷が集中していた。『店長の●●は感じ悪い。お客様の声に耳を傾けていくとか抜かすが、傾けるなら店建てるな』とか、『周囲の道路の渋滞緩和策を取るといっていたのに何もしていない。●●は無能』など。
中には『バイトの女子大生を顔で選んで、気に入った子を連れ込んでセクハラしている』などといった根も葉もない話まであった。心から“見なきゃよかった”と思った」
多いのは、こうした個人に対する誹謗中傷である。
■37歳女性(調理師)
「あるメディアに“美人料理人”として採りあげられたばっかりに、ネット上で散々叩かれるハメになりました。最初は自分の名前が検索してヒットするのが楽しかったんですが、そのうち『あいつは整形』とか『超絶ビッチ』などと書き込みが悪い方にエスカレート。仕事にも影響するようになっています。有名税というにはあまりにも高すぎる」
※週刊ポスト2012年10月26日号