漆塗りに金箔、総ヒノキ……。たとえ狭い我が家でも故人のためなら豪華にしなくては。といった時代はもう古いらしい。いま密かに人気になっているのが「おしゃれ仏壇」だ。
仏壇のイメージを一新したのはインブルーム社の「いのりのおうち」(インブルーム社、総額14万1540円)。釘やネジなどの接合具を用いず、伝統の指物技術でひとつひとつ手作りされ、2012年度のグッドデザイン賞にも選ばれた。とはいえ、「仏壇」なのに仏像も位牌も見当たらない。エンディングコンサルタントの佐々木悦子氏が解説する。
「3~4年前の“葬儀は高すぎる”という報道が契機になり、明朗会計で、参列者を絞った『家族葬』や火葬のみの『直葬』を選ぶ人が増えています。葬儀後も、価格に敏感でいて宗教とは希薄な層の間で、故人を中心に置いたこのような現代仏壇が人気を呼ぶようになったのです」
観音扉に仏像の従来型の仏壇とは異なり、骨壷を中心に、十字架型の供養台にLEDの照明が付くなど種類もさまざま。いずれも持ち運びもできるコンパクトサイズだ。
写真で紹介しているのは、高さ67センチ、総ヒノキに総漆の「ロボ壇」(アートマン・ジャパン)。胎内に骨壷や位牌、仏像を納めることもできる。製作に3か月、価格は18万9000円だ。
「核家族化が進み、墓の承継も難しいなか、あえて墓を持たず散骨や樹木葬などを希望する人も増えています。埋葬法が多様化するとともに、粉骨した遺骨を自宅に置いて弔うという新たなニーズも生まれているのです」(前出・佐々木氏)
一式を揃えれば最低30万円はくだらないといわれてきた仏壇も、現代仏壇なら10万円程度から可能。あなたもおしゃれな祈りの形、試してみますか?
※週刊ポスト2012年10月26日号