紀伊半島南部にある熊野の地と、伊勢や大阪、和歌山などの地を結ぶ古い街道である『熊野古道』。はるか千年もの昔から多くの人々の祈りを受け止めてきた熊野の名が、全国に知れわたるようになったのは、平安時代に白河上皇が何度も熊野詣に行ったのがきっかけだったといわれている。
古事記でも語り継がれているだけでなく、亡くなった大好きな人に出会えるという「蘇りの道」、旧暦11月23日に見られるという「三体月」などの伝説も数多くある。そんな不思議な場ゆえ、2004年には世界遺産に「霊場」として登録された。
その日本有数のパワースポットを、9月末に訪れていたのが、無期限活動休止中の宇多田ヒカル(29才)だった。10月6日、自身のツイッターで、熊野古道へ女ひとりで巡礼をしていたことを明かした。
しかしその道中、足首を捻挫してしまったという。内出血を伴いひどく腫れたものの、民宿で一晩休むと、その腫れもひき、案外歩けてしまったため、巡礼を続行。しかし夜になると再び腫れるということを繰り返しながら、結局3日間歩き続けた。帰京後、病院に行くと、じん帯損傷と診断されたという。
そんな状況ならば、きちんと整備された道を歩くだけでもかなりの激痛。ましてや熊野古道は千年以上も前の自然が残る山道だけに、道も悪く、その痛みは想像を絶する。それでも3日間、宇多田が歩き続けられた理由とは?
古神道家でスピリチュアリストの暁玲華さんがこう説明する。
「熊野古道は昔から修験者たちが歩いたところ。ヒーリング効果のほか、忍耐強くなったり、眠っている底力がわいてくるという効果があります」
2010年8月、自身のブログで、年内をもってアーティスト活動を無期限休止することを発表した宇多田。
<2年になるか、5年になるか、わからないけど、一回り大きくなって帰ってくるから>
と誓っていたが、もしかしたら彼女は、熊野古道にパワーを求めたのかもしれない。
「長く続けることの意義を悟らせてくれるし、そうできる力をくれる場所。もっと生命力を出して、頑張ろうと思わせてくれる力が熊野古道にはあるんです」(前出・暁さん)
※女性セブン2012年11月1日号