いま、不況をモノともせず、大人たちを虜にしているのが、数万円をくだらない“大人の玩具”だ。ブームの火付け役となったのは2010年から発売を開始したバンダイの「大人の超合金シリーズ」。
実在の乗り物を題材にし、本物志向のもとリアルな再現性や作りこみのクオリティを高め、7万円超えの高額商品がありながらも累計2万個を超えるヒットとなった。来年1月発売となる第5弾の企画は『南極観測船・宗谷』(4万9350円)だという。バンダイ広報チーム・今福ゆり子さんはこう語る。
「乗り物と共に記憶する情景の再現にこだわった点も特徴です。60~70代の方にも宗谷が南極に接岸した瞬間の感動を、もう一度味わっていただきたいですね」
“大人の玩具”のラインナップも年々増え、その人気も上昇の一途。模型やフィギュアは高額なものほど予約が殺到。大人向けのブロックはわずか4年でブロック製品売り上げ全体の9割を占めるまでになった。高齢者向けの癒し系ぬいぐるみも売れ筋だ。経済評論家の森永卓郎氏はこう分析する。
「ここ数年で大人向け玩具のマーケットはすでに定着しました。いまの高齢者はおもちゃを買うことへの抵抗感がなく、現在、所得に余裕のあるのはその世代しかいませんから、当面は大人の玩具市場は拡大を続けると思いますね」
※週刊ポスト2012年10月26日号