みうらじゅん氏は、1958年京都生まれ。イラストレーター、エッセイスト、ミュージシャン、ラジオDJなど幅広いジャンルで活躍。1997年「マイブーム」で流行語大賞受賞。仏教への造詣が深く、『見仏記』『マイ仏教』などの著書もある同氏が、“散骨”の海洋葬に参加した。
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海洋葬を取材した。遺骨を墓に埋葬するのではなく、海に撒くというセレモニーだ。指定された場所は、神奈川県三浦半島の浦賀。東京から車でも電車でも1時間足らずで行ける距離。東京湾に面したマリーナだ。ここから散骨のために出港するワケだ。
この日は海洋葬業界のパイオニア「有限会社 風」が主催する“合同散骨”。2組の遺族(それぞれ参加者1名ずつ)と、1組の代理散骨(業者が遺族の代わりに散骨)の計3組の散骨が予定されているという。
それにしてもマリーナに着いてビックリした。週末だったこともあってか、マリンレジャーを楽しもうというグループ客やファミリーが、マリーナのガーデンで、バーベキューに興じている。
これからここで“葬送”を行なうというムードは皆無! ここに喪服姿の人が来たら完全な場違いだよなあ、と思ったが、「風」の海洋葬は、喪服での参加はNGなんだとか。これから船に乗る2人の遺族の方……2人とも女性であったが、あくまで服装はカジュアルだった。
しかし、前々から気になっていたのは、そもそも「散骨って法律的にはどうなのか?」ということであった。これには色々な紆余曲折があったらしい。
まず1987年、石原裕次郎がなくなった時、兄の石原慎太郎が、「海を愛していた弟は、海に還してあげたい」と海洋散骨を計画するが、当時の法解釈(刑法190条、墓地、埋葬等に関する法律)では認められず断念。
しかし1991年に「葬送のための祭祀で節度を持って行なわれる限り違法ではない」と法務省が発表。これ以降「他人の土地に無断で撒かない」「散骨場所周辺の住民感情に配慮」といったことを遵守するということで、散骨を伴う海洋葬は行なわれるようになったという。
※週刊ポスト2012年11月2日号