FX(外国為替証拠金取引)のカリスマトレーダー・羊飼い氏が、外為市場の旬な話題をウォッチするマネーポスト連載「FXトレンドフォーキャスト」。今回は、話題の「システムトレード」について解説する。
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本連載ではこれまで、スプレッドの縮小やバイナリーオプションなどFX業界のニュースや、業者間のサービス競争などについて取り上げてきた。今回は、最近特に人気を集め始めたシステムトレード(以下、シストレ)を紹介したい。もともとFX業者で口座を開けばチャートなどの分析ツールや経済指標などの情報が提供されるが、シストレの口座なら、さらに投資の判断や実行までを代行してもらえるのだ。
シストレというと、メタトレーダー4(MT4)を連想する人も多いだろう。MT4は、EAと呼ばれる投資プログラムを組み込んで稼働させることで、詳細なチャート表示やオリジナルのテクニカル分析を可能にするほか、自作のプログラムを組み込んだり、自動売買もできる非常に高機能なソフトだ。しかし、MT4を使いこなすにはFXだけでなくITについても高度な知識が要求されるため、初心者にはハードルが高かった。
そこで、売買タイミングのシグナルを出すタイプ(シグナル型)や、戦略を示してくれるタイプ(売買戦略型)など、機能を絞り、初心者にも使いやすいシストレのサービスが、このところ次々と登場してきた。なかでも注目を集めているのは、投資家自身が投資判断や操作をしなくても自動で取引をしてくれる「自動売買型」サービスだ。
特に、「ミラートレーダー」というイスラエルのトレーデンシー社が開発したプラットフォームが人気を呼んでおり、国内のFX会社では2012年8月中旬時点で、インヴァスト証券やFXトレード・フィナンシャルなど8社が提供している。
ミラートレーダーでは、「ストラテジー」と呼ばれる取引プログラムの中から好きなものを選んで投資する仕組みになっている。選んでしまえば後は勝手に取引が実行されるので、ストラテジー選びが勝敗を左右する生命線といえる。
実は、羊飼いも昨年春に500万円を投じてミラートレーダーを試してみたのだが、一時は200万円の利益をあげたものの最終的には70万円のマイナスとなってしまった。損失を出してしまったこともあり、あまりよい印象は持たなかったのだが、この夏にFX会社の関係者と話をしたところ、今年に入ってミラートレーダーで利益をあげている顧客が急増し、その人気はうなぎのぼりだという。
羊飼いが初めて挑戦したころはストラテジーの数はまだ少なかったが、現在はFX会社が独自で用意しているものも含めると700以上といわれている。ストラテジーはどれを選んでも無料なので、当然ながら投資家はそのなかから成績の良いものを選んで取引する。
ストラテジーの開発者には投資家が売買した金額の一定割合が還元されるビジネスモデルになっているので、開発者は少しでも成績を残せるストラテジーを生み出そうとしのぎを削っており、精度はかなり向上しているようだ。
実際、ストラテジーのなかには好成績を残しているものも多く、インヴァスト証券が公表している月間レポートによると、2012年7月の人気ストラテジーベスト10では、期間中に取引シグナルが出なかった1つを除いた9ストラテジーすべてがプラスの成績を残している。7月は円高基調で推移したため、裁量取引の個人投資家は身動きがとりにくかったかもしれないが、システムトレードの投資家は比較的良い成績を収めていたようだ。
※マネーポスト2012年秋号