インフルエンザの流行に異変が起きている。本来、流行するのは12月~翌3月だが、9月に沖縄、鹿児島を中心に全国で979人の感染が報告されるなど、早めの流行が懸念されているのだ。41歳の主婦は語る。「早く予防接種に行かなくちゃって、子供がいる母親はみんな焦っていますよ」
気象庁によると、過去100年で東京の平均気温は3度上がり、湿度は17%低下。乾燥が年々深刻化している。とくに今年の夏は少雨の上、暑さが長引いたせいか、本来は真冬に起こる脅威が、早足で迫っている。「インフルエンザ」や「冷え」、「乾燥」をはじめとする“冬の敵”に、今年は早め早めの対策が必要のようだ。以下、冬の3大敵への対策を専門家に聞いた。
まず、インフルエンザ対策について、日本東洋医学会専門医で漢方外来医を務める小林瑞さんはこう話す。「予防策は、胃腸を鍛えて免疫力を高めておくこと。10度以下の冷たい食べ物を多く摂ると、胃の動きが鈍り免疫力が低下してしまいます。胃腸は37度前後で活発に働くため、しょうがやねぎなど、体を温める食べ物を意識して摂りましょう。お子さんや年配のかたは、重篤になることが多いので、予防接種を受けておくことが大事ですね」
予防接種は10月1日から始まっているので、早めの摂取を心がけたい。また、日頃から、「しょうがたっぷりチャイ」(永谷園)など、手軽な食品で免疫力アップを図っておくのも手だ。風邪の引き始めには発汗作用により熱を下げる「葛根湯エキス顆粒Aクラシエ」(クラシエ薬品)が有効。
第2の敵は「冷え」。今年は暑さが続いたせいで冷たい食べ物を摂り過ぎ、真冬になる前に体が冷えている人が多いと小林さんは言う。「体が冷えると血行が悪くなり、肩こり、頭痛、腰痛、生理痛、めまい、耳鳴り、下痢、便秘、消化不良など、さまざまな不調が現れます。対策はやはり、胃腸を温め、お腹や下半身を冷やさないようにすること。また、睡眠不足は冷えを助長させ、老化も早めます」(小林さん)
夜は、シャワーよりも湯船で温まり、血行を促進するのがよいとのこと。入浴剤を利用するなど、面倒がらずにバスタイムを楽しみたい。既存品と比べ炭酸濃度を約1.5倍に、発泡数を約10倍にそれぞれ増やし、疲労回復効果を実感しやすくしたという「バブ メディケイティッド」(花王)が登場するなど、入浴剤市場も冬に備えている。
そして第3の敵は「乾燥」とそれに伴う「かゆみ」などの肌トラブルだ。「冬を迎える前に、すでに肌が乾燥している人は多いですね」と語るのは、皮膚科専門医の慶田朋子さん。冬のスキンケアの要点をこう解説する。
「肌は、とても薄い膜“角層”によって守られています。そして角層の間は“セラミド”という成分で埋められています。肌の潤いといえば、コラーゲンやヒアルロン酸が有名ですが、実はこのセラミドこそ、肌の水分保持のために欠かせない成分なんです。
セラミドが不足すると、角層細胞の間がスカスカになって、肌が本来持っている肌を守る力が低下。外からの刺激に敏感になってしまい、カユみやカサつきなどの症状が現れるんです。冬場の乾燥から肌を守るのは、角層と角層をおおう皮脂。皮脂は垢の一部ですが、じつは、肌を守ってくれる大切な財産です。これを減らさないためにも、洗いすぎや洗いっぱなしは厳禁。洗ったあとはクリームなどでセラミドを補っておかないと、セラミドがどんどんなくなってしまいます」
冬を前に、「キュレル 潤浸保湿フェイスクリーム」(花王)や、「薬用アクアコラーゲンゲルスーパーモイスチャー」(ドクターシーラボ)など、セラミドを豊富に配合したクリームの人気は高いという。朝晩のほか、日中は目元や頬など、乾燥が気になる部分にクリームを塗ってセラミドを補い、冬の敵に打ち克ちたい。