ビジネス

好調の為替ヘッジあり外国債券投信 そもそも為替ヘッジとは

『グローバル・ソブリン・オープン』(グロソブ)が大幅に残高を減らす一方でその受け皿として為替ヘッジあり先進国&新興国債券ファンドが好調だという。運用方法や投資対象はそれほど変わらないが、何が違うのか、リッパー・ジャパンのファンドアナリスト、篠田尚子氏が解説する。

 * * *
 そもそも、為替ヘッジとはどういうものなのか。海外の株式や債券を投資対象とするファンドは、外貨建てで運用されるのが一般的だ。その外貨が円に対して上昇すれば、株式や債券で得られるキャピタル・ゲインやインカム・ゲインに、為替差益が上乗せされる。

 逆に、円に対して下落すれば為替差損が発生し、キャピタル・ゲインやインカム・ゲインが目減りする。為替差損が大きければ、トータルで損失が出ることもある。こうした為替差損が発生するリスクを回避するために、為替ヘッジという手法が用いられる。

 通常の為替ヘッジは、対象通貨の為替予約(将来のある時点で一定の為替レートでの交換をする契約)を利用する。実際に行なわれる取引は、対象通貨の円に対する空売りだ。例えば、米ドル建ての資産に投資している場合、ドルの空売りをしておけば、ドルが対円で下落しても、空売りポジションに利益が発生する。その利益で、ドル建て資産のドル下落分の損失を相殺するのである。

 したがって、為替ヘッジにかかるコストは、理論上、空売りポジションを取るコストと同じになる。空売りポジションのコストは、2通貨間の金利差に等しくなり、円とドルの金利差が1%あれば、為替ヘッジのコストは1%になる(騰落率の1%に相当)。

 ここで、注意しなければならないのは、為替ヘッジを付けると為替差損のリスクは取り除けるが、為替差益のリターンが期待できなくなる点だ。先ほどのドル/円の例で言うと、ドルが上昇しても、空売りポジションで損失が発生するため、ドル建て資産のドル上昇分の利益が相殺されてしまうのだ。つまり、為替ヘッジは、リスクとリターンを共に小さくするのである。

 先進国債券ファンドと新興国債券ファンドにおいて、「為替ヘッジあり」のタイプが高い利回りを記録している理由は、円高が続いているからに他ならない。高利回りの海外債券のインカム・ゲインが、為替差損を蒙ることなく、投資家に還元されているのだ。

 さらに、もうひとつ重要なポイントがある。世界的な超低金利によって、為替ヘッジにかかるコストが低くなっている点だ。ドル/円の場合、短期金利の差がほぼ0%となっているので、為替ヘッジのコストは実質的にゼロ。為替ヘッジのコストがリターンに影響することはほとんどなくなっている。

※マネーポスト2012年秋号

関連記事

トピックス

母・佳代さんのエッセイ本を絶賛した小室圭さん
小室圭さん、母・佳代さんのエッセイ本を絶賛「お母さんと同じように本を出したい」と自身の作家デビューに意欲を燃やす 
女性セブン
日本館で来場者を迎えるイベントに出席した藤原紀香(時事通信フォト)
《雅子さまを迎えたコンサバなパンツ姿》藤原紀香の万博ファッションは「正統派で完璧すぎる」「あっぱれ。そのまま突き抜けて」とファッションディレクター解説
NEWSポストセブン
国民民主党の平岩征樹衆院議員の不倫が発覚。玉木代表よりも重い“無期限の党員資格停止”に(左・HPより、右・時事通信フォト)
【偽名不倫騒動】下半身スキャンダル相次ぐ国民民主党「フランクで好感を持たれている」新人議員の不倫 即座に玉木代表よりも重い“無期限の党員資格停止”になった理由は
NEWSポストセブン
ライブ配信中に、東京都・高田馬場の路上で刺され亡くなった佐藤愛里さん(22)。事件前後に流れ続けた映像は、犯行の生々しい一幕をとらえていた(友人提供)
《22歳女性ライバー最上あいさん刺殺》「葬式もお別れ会もなく…」友人が語る“事件後の悲劇”「イベントさえなければ、まだ生きていたのかな」
NEWSポストセブン
4月24日発売の『週刊文春』で、“二股交際疑惑”を報じられた女優・永野芽郁
永野芽郁、4年前にインスタ投稿していた「田中圭からもらった黄色い花」の写真…関係者が肝を冷やしていた「近すぎる関係」
NEWSポストセブン
東京高等裁判所
「死刑判決前は食事が喉を通らず」「暴力団員の裁判は誠に恐い」 “冷静沈着”な裁判官の“リアルすぎるお悩み”を告白《知られざる法廷の裏側》
NEWSポストセブン
第一子となる長女が誕生した大谷翔平と真美子さん
《インスタで娘の誕生報告》大谷翔平、過熱するメディアの取材攻勢に待ったをかけるセルフプロデュース力 心理士が指摘する「画像優位性効果」と「3Bの法則」
NEWSポストセブン
永野芽郁
《永野芽郁、田中圭とテキーラの夜》「隣に座って親しげに耳打ち」目撃されていた都内バーでの「仲間飲み」、懸念されていた「近すぎる距離感」
NEWSポストセブン
18年間ワキ毛を生やし続けるグラドル・しーちゃん
「女性のムダ毛処理って必要ですか?」18年間ワキ毛を生やし続けるグラドル・しーちゃん(40)が語った“剃らない選択”のきっかけ
NEWSポストセブン
不倫疑惑が報じられた田中圭と永野芽郁
《田中圭に永野芽郁との不倫報道》元タレント妻は失望…“自宅に他の女性を連れ込まれる”衝撃「もっとモテたい、遊びたい」と語った結婚エピソード
NEWSポストセブン
上白石萌歌は『パリピ孔明 THE MOVIE』に出演する
【インタビュー】上白石萌歌が25歳を迎えて気づいたこと「人見知りをやめてみる。そのほうが面白い」「自責しすぎは禁物」
NEWSポストセブン
不倫報道のあった永野芽郁
《お泊まり報道の現場》永野芽郁が共演男性2人を招いた「4億円マンション」と田中圭とキム・ムジョン「来訪時にいた母親」との時間
NEWSポストセブン