お気に入りの芸能人や歌手、スポーツ選手の私生活や“本音”がチェックできる「有名人ブログ」が人気だ。だが、そのブログが書き手にとって「金のなる木」であることは意外に知られていない。
あるモデル出身の人気女優が自分のブログを持っていたとしよう。その女優はファッションに関心のある女性たちから人気が高く、ブログの閲覧数は月間1億ページビューだ。彼女が書いた記事の影響力は高額な宣伝費用がかかるテレビCMに匹敵する。
そこで、ある化粧品メーカーがその女優のもとに宣伝したい商品を持ち込む。そして彼女に使ってもらうなどして、感想や使い心地をブログに書いてもらう。人気女優が報酬として受け取るのは、たった1回の記事で200万円也――。
昨今、「ステマ」という言葉が盛んに使われている。消費者に宣伝だと気づかれないようにPRする手法「ステルスマーケティング」の略だ。この女優の例のような「やらせブログ」もまさにステマの一種で、今やビッグ・ビジネスになっている。
週刊ポストはその実態を示す資料を入手した。そこには人気ブログを持つ芸能人やモデル、アーティストが名を連ね、それぞれに「ランク」が記されている。ランクごとの値段を示す料金表もあり、1番下の「Eランク」で1記事60万円、「Aランク」で150万円、最高の「Sランク」では200万円となっている。作成したのはある広告代理店だ。
最近、テレビのバラエティ番組でよく見かけるようになった男性料理人はEランクで60万円。かつて民放キー局で人気女子アナだったアラフォータレントはDランクの80万円。ママさんタレントとして本も出している元アイドルグループのメンバーはページビュー数がダントツに多いことからSランクの200万円だ。
「クライアントが支払う金額から広告代理店やブログ運営会社の手数料が引かれた金額が書き手のギャラになります」(代理店関係者)
ちなみにアメリカでは、インターネットを利用する広告宣伝活動について、商品を推奨する人と広告主との間に、金銭授受があるかどうかなどを開示する義務を設けている。かたや日本では“倫理”の問題に過ぎない。
※週刊ポスト2012年11月2日号