「きんは100シャア、ぎんも100シャア」そんな名セリフで日本中を沸かせた双子の100才、きんさんぎんさん。ぎんさんの4人の娘たちも今や平均年齢93才。母親譲りのご長寿だ。今回は、同居生活を送っている長女・年子さん(98才)と三女・千多代さん(94才)の生活に密着。1週間の食卓から見えてきた“長寿の献立”を紹介する。
野菜と魚が苦手で、進んでは食べたくないという年子さんが、たちまち目を輝かせるのがお肉。牛肉はもちろん、豚肉、鶏肉と、とにかくお肉がだーい好き。1週間分の夕食の献立のうち、1~4日目までは次の通りだ。
1日目<ごはん(白米)、白菜とツナ缶の甘辛煮、鶏のから揚げ、ポテトサラダ、春菊のごま和え、千多代サラダ(内容は後述)>
2日目<ごはん、豚肉と冬瓜の煮付け、すき焼き風の煮物、千多代サラダ>
3日目<ごはん、天ぷら、鶏から揚げの味付け煮、かぼちゃの煮付け、千多代サラダ>
4日目<ごはん、鮭の煮付け、おでん、魚肉ソーセージときゅうりのマヨネーズ和え、千多代サラダ>
毎日、肉類は欠かせない。
そのため、ふたりの食費のうち、肉類に要するお金が4割近くを占めるという。1週間分の献立を並べてみると、「すき焼き風の煮物」が2回登場する。これは牛肉に豆腐、ねぎ、しいたけ、それにしらたきを加えて甘辛く煮付けたものだ。
そのほか鶏のから揚げは、出来合いを買ってきてよく食べ、煮付けにもするという。一般的にいって、年をとるとともに、肉食よりも野菜中心になりがちだが、東京都健康長寿医療センター副院長・原田和昌さんはこう言う。
「体内にはアルブミンというたんぱく質があり、これが不足した状態になると、筋力の低下や免疫力の低下などにつながります。そのため、たんぱく質の割合の多い食事、つまり“肉食”の高齢者ほど、筋肉量の減少が抑えられて骨密度が高く、胃腸が丈夫だといわれています」
もちろん、ふたりの食事は肉ばかりに偏っているわけでない。5日目以降の食事は、
5日目<ごはん、すき焼き風の煮物、厚揚げ豆腐とはんぺんのみそかけ、かぼちゃの煮付け、千多代サラダ>
6日目<ごはん、赤魚の煮付け、まぐろの刺身、油揚げとれんこんの煮びたし、千多代サラダ>
7日目<ごはん、鶏から揚げの味付け煮、大根とにんじんの煮付け、みそ汁、千多代サラダ>
と、野菜や魚もバランスよくとっている。実は10年ほど前から、姉・年子さんと同居するようになった千多代さんが、ほとほと手を焼いたのが、年子さんの野菜嫌いだった。
年子さん「若いときは母親にやんやと言われるだで仕方なく食べたけど、野菜はどれも青くさくて好きになれん」
そこで千多代さんが姉のために考えだしたのが、特製の「千多代サラダ」だ。これはレタスにきゅうり、そして細かく刻んだりんご、それに干しぶどうを混ぜ合わせ、ごまだれのドレッシングをかけてでき上がり、というシンプルな野菜サラダ。
これを7年ほど前からふたりは1日3食、ほぼ毎回、食べ続けている。
毎日、夕食の支度を終えると、ふたりは居間の食卓につく。お互い顔を合わせながら、おかずにはしをつつくのが、何よりの幸せなひとときとなる。
千多代さん「年をとってからの楽しみは、好きなものを自分でこしらえていただくということ。これからも、あんねぇ(姉)にやんや言われて、体の動く限り、作り続けるしかありましぇん(笑い)」
あんねぇを横目で眺めて、千多代さんがVサインを作ってみせた。
※女性セブン2012年11月8日号