10月25日、東京都知事を辞任し、国政への復帰を表明した石原慎太郎氏(80才)。テレビや新聞は連日、橋下徹大阪市長(43才)率いる日本維新の会との連携によって、「石原旋風が吹き荒れる」「第三極を結集か?」と大々的に報じている。石原氏の狙いはどこにあるのか。ジャーナリストの田原総一朗さん(78才)は、その腹の内をこう推測する。
「新聞やテレビは、石原さんが“第三極を結集する”と報じていますが、それは石原さんを見誤っています。80才にもなった石原さんが第三極を作るためにわざわざ国会議員になったりはしませんよ。彼が狙っているのは政界再編です。
橋下さんのところと連携して、次の衆院選挙で維新の会と合わせて最低でも100議席を狙う。そうなると、自民党も民主党も過半数を満たせませんから、他党や無所属、さらに民主・自民からの離党組も含めて、保守派を結集して首班指名を受ける腹づもりでしょう」
わからないのは、なぜ今、80才になってなお出馬を決めたのか、ということ。会見では「お国に最後のご奉公」と国政復帰の理由を説明した石原氏だが、田原さんはその理由は2つあると指摘する。
「一つ目は、息子の自民党前幹事長、伸晃さんのこと。石原さんは『4選目は都知事選挙に出ない』とぼくにも言っていたんです。ところが自民党が連携できる有力な都知事候補が石原さん以外に見つからず、息子の伸晃さんが石原さんを懸命に口説いたんです。石原さんとしては、息子の顔を立てるために仕方なく出馬したという経緯がありました。
これまでにも新党結成の動きがありましたが、乗らなかったのも、伸晃さんが自民党の幹事長をやっていて、“息子の邪魔はしたくない”と考えたから。石原さんは意外に子煩悩なんです」
ところが先の自民党総裁選で伸晃氏は破れ、勝った安倍晋三氏(58才)が総裁の座に就いた。息子に総理の目がなくなったとたんに、親父としては“もう自民党に遠慮する必要はなくなった”という、いわば石原家の事情によるもの。そしてもう一つは尖閣問題。
「政府が動かないから東京都が買うと言っていた尖閣諸島を、その政府が国有化したことにより、この件も決着がついたと思ったんでしょう。だから、もう3期目の時点で飽きていた都知事を辞めて、前から言っていた『日本を変えたい』という思いを実現するために、もうひと勝負しようと考えたのではないか。
原発問題や消費税増税をめぐって隔たりが大きい橋下さんとの連携を疑問視するメディアも多いですが、石原さんは日本を変えるため、政策の違いなど大した問題ではないと思っているはず。橋下さんのほうも、何かアクションを起こさないと注目度が落ちていますからね。2人は当然、連携すると思います」(田原さん)
石原氏が3月に尖閣諸島の購入を発表して以来、東京都に集まった寄付金の額は14億7000万円を超える。それだけ国民に強いインパクトを与えたが、図らずもその解決で石原氏はすっかり都政への関心を失ってしまったようだ。
※女性セブン2012年11月15日号