何気ない会話がいつの間にか記録され、それが自分に不利な材料として使われる――。
いま巷では、ICレコーダーで会話や物音を録音し、それを“武器”として使う「録音族」が急増している。もはや「口が滑った」では済まされない。なにか対策を取ることはできないのか。そもそも、隠し録りすることは法的に問題ないのだろうか。東京弁護士会所属の伊藤博・弁護士が解説する。
「刑事裁判の場合は刑事訴訟法における証拠能力が問われるので、原則的に隠し録りのような形で収集した証拠は使えません。
しかし証拠能力の制限が厳密でない民事では、裁判官を納得させることができれば、どのようなものでも証拠能力ありとされる。“録らないで”と事前に断わるなど、許可を得ない録音であっても、発言内容は証拠として認められます」
先般話題になった、タレントの高嶋政伸・美元夫妻の離婚裁判で提出された音源が記憶に新しいところだ。
※週刊ポスト2012年11月9日号