4人に1人が65歳以上となる中、各業界では、「高齢者層をいかにして取り込むか」が重要課題となっている。それは「セックス」にまつわる分野とて例外ではない。これまで「年寄りとは無縁」と思われていたラブホテル業界では、様々な形で高齢者獲得に向けた試みが進んでいる。
具体的には、どんな取り組みをしているのか。
高齢者の場合、「ゆっくり過ごしたい」という理由から、長時間の利用をする人が多い。そこで、ここ数年、2~3時間だった従来の日中の“休憩時間”を朝から夕方までの10時間程度にするホテルが増えた。また、客室の改装時には和室タイプを増設する傾向があるという。
東京・浅草にある「ホテルカリフォルニア雷門」では、今年7月の改装の際、ロビー内の段差部分に手すりを取り付けた。
「高齢者向けを謳っているわけではありませんが、たった2段の段差にもかかわらず、壁に手をつきながら降りられる方がいたので付けました。年輩の方は対面することを嫌がるのでフロントは無人で、客室で自動精算できるようにしています。アンケートを見る限り、これも好評のようです」(同ホテルを運営するジョイントサポートの川島邦彦・代表取締役)
関東を中心に15のラブホテルを管理運営するTRUSTARでは、高齢者利用の多い埼玉と群馬の2つのホテルで、今夏から「焼き魚定食」や「お茶漬け定食」などシニア向けの食事メニューを提供している。量も通常の食事より少なくしており、評判は上々だ。
同社の嶋野宏見・代表取締役が次のように語る。
「今後はBGMとして昭和のヒット歌謡曲を流し、日活ロマンポルノや『男はつらいよ』などの映画も用意するつもりです。入浴剤も、草津など全国各地のものを用意する。可能であればお風呂には手すりも付けたいですね。
2つのホテルのうち、1つでは19ある洋室の4つを和室に改装します。それも昭和レトロ的雰囲気を楽しめるように、オブジェとして火鉢や豚の蚊取り線香を置こうと考えています。早ければ11月から、これらのサービスを開始したいと思っています」
※週刊ポスト2012年11月9日号