就職氷河期といわれる厳しい環境のなか、企業が欲しがる人材を育てている“就職力”の高い大学もある。就職率全国1位は、国立福井大学(福井県)で、就職率は95.8%。
福井大学が1位となったその理由のひとつとして挙げられるのが、学生ひとりひとりに対するきめの細かい就職支援だ。
「就職活動がまだ始まらない1年生のときから、携帯で就職情報を見ることができ、就職ガイダンスの情報などはメール配信も行っています。入学後3年生までは、個人的に助言してくれる担当教員がつき、4年生になると卒業研究担当へバトンタッチ。また支援室では就職が決まらない学生には個別に電話し、就職相談にのることも」(就職支援室室長の青山傳治さん)
また、同大学は個別企業説明会を積極的に取り入れている。企業が数十社集まって行う合同説明会では、企業側も自社の魅力をアピールする充分な時間がないうえ、学生側も興味本位でのぞいていくといったケースが多い。
しかし、ひとつの企業が大学を訪問して行う個別企業説明会は、少人数制(予約制)で1回に1社のみ。2時間たっぷりと時間を使って説明ができる。リクルーターとして、OB・OGが来るケースも多く、より親密でやわらかい雰囲気のなかで質疑応答が行われるため、企業側と学生側間で深い意思の疎通を図ることができるという。
「就職を成功させるためには、学生と企業のニーズの相違をなくすことが重要です。学生たちには大手を意識する傾向がありますが、しっかりと企業について調べ、自分に合った職業を選ぶよう指導しています」(青山さん)
開始した当初は40社程度だった個別企業説明会も、今年は150社以上の参加があり年々増加の経過にあるという。
また、個別企業説明会の成果は離職率にも表れている。「大学生の就職3年目の離職率の全国平均が30%近くあるなか、福井大学卒業生の離職率はわずか8%に留まっています」(青山さん)
そのほか、同大学の充実したガイダンスも魅力だ。年間40回以上行われているが、なかでも、就職したOBたちの生の声が聞ける『業界・企業研究会』や『先輩による就職体験報告会』は好評。
女性学生には就職のための『メイクアップ教室』もある。就職支援室では、ガイダンス後には必ず学生にアンケートを取るという。「ガイダンスは自己満足ではダメ。常に学生が望んでいることを把握し、次に繋げています」(青山さん)。
※女性セブン2012年11月15日号