今、ラブホテルを利用する高齢者が増えていることから、ラブホテル業界では様々な形で高齢者獲得に向けた試みが進んでいる。
しかし、こうした取り組みは始まったばかり。そんな試行錯誤の段階で見えてきたものは、あからさまに「高齢者向け」を謳うのはタブーということだ。
そのことを示す最たる例が「シニア割引」だ。男女のどちらかが60歳以上であれば、身分証を提示すると割引サービスが受けられるというものだが、実施している東京都内や大阪府内のホテルに聞くと、「今のところ、1人も利用者はいない」と口を揃える。
映画館や美術館、博物館などでは高齢者に歓迎されているシニア割引が、なぜラブホテル業界だけは利用されないのか。
「ホテルから『年齢をいえば割引になります』と説明され、『年齢をいわせるのか』といって怒ってやった。60歳をこえていても俺はまだ現役だし、年寄り扱いしないでほしい。年下の女性を連れていれば、なおさら格好がつかない。そのホテルは今でも利用しているが、シニア割引なんて一度も使ったことはない」(60代後半の男性)
こうしたことから、業界では“見えない形”で高齢者のニーズを汲み取るサービスが課題なのだという。
※週刊ポスト2012年11月9日号