2010年春の大学卒業生の就職率は60.8%。出口の見えない不況が原因で、企業が求人数を抑えていることによって、厳しい就職状況を招いている。そんな大学卒の入学者も激増し、“就職に圧倒的有利”ともいわれるのが専門学校。就職率の高さとその理由、選び方のコツって?
『大学より専門学校がトク』(エール出版社)著者で、実践教育ジャーナリストの松本肇さんはこう話す。
「どんな不況になっても就職できる人はいます。それはずばり、即戦力のある人、専門的な技術を持った人。進路に迷ったときは、大学よりもまず専門学校を選んで、といいたいですね」
専門学校をオススメする理由はほかにもあるという。
「まず専門性を持てるということ。独学で資格を取れる人もいるでしょうが、専門学校は資格取得から就職までサポートしてくれます。企業から見ても、実習授業のある専門学校生はいわばOJT(On the Job Training=企業が行う新人研修)を済ませてきてくれている状態。即戦力の高さは圧倒的です。それに気づき、大学卒業後に専門学校に入学する人が急増しています。今では入学生の約1割は大学卒業生です」(松本さん)
現在57万人(『学校基本調査』より)といわれる専門学校生だが、2009年に55万人に落ち込んだ後、年々1万人ずつ増加している。この数値分は専門学校での“学び直し組”といえそうだ。
しかし早くから進路を決められればいいが、本当にやりたいことが見つからない人や、“モラトリアム”的に大学に進学する人も少なくないはず…。
「そういう人にこそ専門学校がおすすめです。先ほどもいったように授業は実践的ですから、長くても1~2年で“この分野で働きたいかどうか”という見極めができるでしょう。卒業したらそのまま就職してもいいですし、やっぱり大学で学びたいと思ったら大学に編入もできます。
しかも、一般企業で通用する最低限の教育(簿記やPC関連など“つぶしのきく”資格取得)を施すことが多いため、履歴書の資格欄には確実に1行プラスされます。“夢を追ってみる”経験と“堅実な就職”という両方の希望をかなえられるメリットが専門学校にはあるのです」(松本さん)
4年間費やさずとも現実を知ることができるなら、学費の節約になる。また大学に編入すれば、専門学校卒業時と大学卒業時の2回、新卒枠で就職活動できることも大きなメリットといえそうだ。
※女性セブン2012年11月15日号