次期衆院選の第3極の主導権を争う石原慎太郎、小沢一郎両氏が激しい舌戦を演じている。 石原氏は新党会見を小沢新党『国民の生活が第一』の結党パーティ当日にぶつけ、記者の質問に答えて、「小沢とは組まない」と宣言した。
一方の小沢氏も石原新党を「大きな広がりになるとは思わない。(石原氏の政策は)今、国民が望んでいることではない」と言い切った。近づく総選挙の戦略も2人は対照的だ。
「理念の政治家」と見られている石原氏が原発推進、消費増税賛成の『たちあがれ日本』を母体に新党を旗揚げしながら、脱原発・反増税の橋下維新やみんなの党に「小異を捨てて大同団結」を呼びかけているのに対して、「政局の人」と批判されてきた小沢氏はドイツを視察し、
「福島事故でドイツ人の原発に対する意識が変わった。ところが当事国の日本では、政治、行政、経済界でその意識は変わらず、我々の主張は少数派だ。ドイツ人は驚いていたと思う。原発事故のあった福島を抱える日本だからこそ、早く国策として脱原発を決めるべきだ」
と語り、あくまで政策を総選挙の対立軸にする姿勢を強調した。
実は「水と油」「犬と猿」といわれるこの2人が同盟に動いたことがある。周旋したのは石原氏の長年の盟友で、小沢氏とは政権交代のために手を組んだ亀井静香氏だった。
「官僚支配を打破するには、石原と小沢の剛腕が必要だ。俺はそう考えたから、今年の春頃、石原に『小沢はあんたが(第3極の)首班でもいいといっている』と伝えて、手を組むように説いた。小沢にも確認をとっていた。
石原は渋ったよ。でも、最後は『わかった。下世話なことは亀ちゃんに任せる』といった。それなのに石原はまた小沢とは組めないという。それでは、俺は石原新党には加わる気にはならない」(亀井氏)
※週刊ポスト2012年11月16日号