葬儀やお墓にまつわることは、経験してみないとわからないことが多い。「夫の先祖と同じ墓に入らなくてはダメ?」という疑問を持つ女性も多いようだ、以下のような主婦の相談に、弁護士・黒澤計男さんが回答してくれた。
【相談】
夫は青森、私は福岡の出身。結婚して東京で暮らしています。先日、夫の実家の墓参りに行った際、先祖代々の墓の前で、夫から「いずれはここに入るんだよ」と言われ、縁もゆかりもない土地に埋葬されると思ったら気分が滅入ってしまいました。夫婦は一緒の墓に入らなければいけないのでしょうか?
【回答】
「夫婦は死後、一緒の墓に入らなければならないという法律はありませんから、夫の実家の墓に入らなくてもまったく問題はありません。ただ、希望する墓に埋葬してもらうには、自分の実家の墓か、新たに墓を作るのか、生前から意思表示や手配をしておいたうえで、必ずそこに埋葬してもらえるように家族や友人に協力を取り付けておく必要があります。
というのも、自分の死後、どこの墓に入るかは民法が定める“遺言事項”ではないため、遺言で墓に関する希望を遺しても法的効力はないのです。遺言で遺すなら、希望の墓への埋葬と引き換えに遺産を与える“負担付き遺贈”をすることをおすすめします」
※女性セブン2012年11月15日号