50才を超えても30代に見える大人気ドクター・南雲吉則(なぐも・よしのり)先生(57才)が、読者から寄せられた体に関する相談に答える。今回は花粉症の改善策についての解説だ。
【質問】
くしゃみと目のかゆみが止まらないので病院に行ったら、ブタクサが原因の秋の花粉症だといわれました。処方された薬をのむ以外に何かいい対処法はありますか?(フラメンコ・40才・会社員)
【南雲先生の回答】
これまでの対処法は、まず花粉に触れないことが大前提だったから、メガネやマスクをつけることが基本だったよね。そのうえで、抗アレルギー剤の服用や、点眼、点鼻を行う。さらにひどいときには、ステロイドという、副作用の強い薬の注射が行われていたんだ。
でも最近は、治療法が180度変わり、アレルギーの原因であるアレルゲンを避けるのではなく、逆にアレルゲンに、体を慣れさせようという考え方が主流になってきたんだ。これは“減感作療法”といって花粉症の症状が出るシーズンの前に、アレルゲンを少しずつ注射して、アレルギーに耐性を作る治療。
ただ、何度も通院する必要があるし、その度に痛い思いをしなければならない治療法なので、それほど定着していない。そこで最近生まれたのが、“舌下減感作療法(経口減感作療法)”。アレルゲンを食パンのかけらなどに垂らして舌の下に置き、体内に吸収することで、免疫をつけようという治療法なんだ。その治療法を聞いたぼくは、アイディアがビビッとひらめいたんだよ。
それが“ナグモ式口呼吸法”。ぼくは花粉シーズンの前から、マスクやメガネ、抗アレルギー剤を全部やめて、口から花粉を入れるために口呼吸しながら外を歩くようにしてみたんだ。
具体的には、花粉を吸収しやすいように口の中に少し唾液をためる。そして、少しほほ笑むような感じで歯の隙間から息を吸う。さらに、鼻の中の花粉を吹き飛ばすように鼻から吐く。ただそれだけ! 信じられないかもしれないけれど、これだけで花粉症が治ってしまったんだよ。
ぼくたちの鼻って、外敵が体内に侵入するのを防ぐバリア(関門)で、口は食物を栄養として取り入れるための入り口なんだ。だから鼻からこしょうが入るとくしゃみが出るけど、こしょうを口に含んでも、くしゃみは出ないよね。
これは “経口免疫寛容”といって、腸管の粘膜は口から入った“異物”には、過剰な免疫反応を起こさないようになっているんだよ。この考えを取り入れてみた“ナグモ式口呼吸法”は大成功!
ぼくは、大学時代からつい最近まで、約25年間花粉症と闘ってきたんだ。花粉症の季節には、マスクとメガネで徹底防御。まるで怪しい人みたいだった(笑い)。薬ものんでいたんだけど全然治らなくて、ひどいときにはお腹にステロイドの注射まで打っていたんだよ。
それが口を大きく開いて息を吸い、鼻から勢いよく息を吐く方法で、ぴたっと治ってしまったんだ。
※女性セブン2012年11月15日号