黒いショーツの上は、カラダに張り付いたかのようなショート丈の茶のトップスのみ。露わなウエストに加えて胸元からのぞく双丘に、観る人は思わず息をのむ。女性たちは腰を突き出し、誘っているかのような艶めかしい視線でチルドカップのストローを口にする。その姿態をスローモーション再生する背景に、白い液体を思わせるエフェクトが飛び込んでくる――。
10月22日から発売されているグリコ乳業のリニューアル商品『ドロリッチ〈クリーミーカフェゼリー〉のテレビCM映像である。登場するのは中村静香、西田麻衣、丸高愛実、遠野千夏、柴小聖。「ドロリッチガールズ」と名付けられた5人は、いずれも今をときめくグラビアアイドルだ。
「ドロリッチ」は新感覚の“飲むデザート”として2007年に発売、わずか2年後には100億円のお化けブランドに成長するヒット商品だっただけに、発売元のグリコ乳業も久々のリニューアルにはクリームの改良を繰り返すなど、並々ならぬ意気込みがあったという。
しかし、商品の内容以上に話題を独占されてしまったのが同CM。ネット上では「セクシー過ぎる」と男性から絶賛の声が挙がる一方、「グリコ乳業といえば、子供の飲み物も多く販売するメーカー。女性の刺激的なポーズで注目を集めようとするのはやり過ぎでは?」と、良識ある女性たちからの批判も上がり始めている。
こうした視聴者の声は、グリコ乳業に届いているのだろうか。広報担当者に聞いてみた。
――人気グラドルを起用した理由について。
「ドロリッチを5年ぶりにテコ入れするにあたり、“振って”飲むスタイルに“モデル”チェンジしたので、『振る(フル)モデルチェンジ!』の語呂に引っ掛けてグラビアアイドル5名様にご登場いただきました」
――なぜこの5人を選んだのか。
「ドロリッチは20代男性をターゲットにした商品なので、その層に人気が高い女性を起用させていただきました」
――CMの衣装はかなりセクシーだと評判だが、なにかコンセプトはあったのか。
「上が茶色で下が黒という衣装はカフェゼリーの色を表しています。胸の部分が開いているのは、いかにグラビアアイドルをきれいに映像で見せるかと考えた結果です」
――CM撮影の裏話はあるか。
「私も気付かなかったのですが、撮影はよりクリーミーカフェゼリーの世界観に近づけるために、幅9m×奥行12mのプール状のセットを用意し、クリームのような白い液体を満たして撮影しました。そのため、女性たちはツルツルと滑って大変だったようです」
――CMを見た視聴者から「セクシー過ぎる」と批判を受けたことは?
「確かに『こういったものを流すのはいかがなものか』という主に女性からの厳しいご意見もいただいております。逆に、男性からはお褒めの言葉も多数いただき、『(5人のうち)この方はどなたですか?』という問い合わせもありました」
――いろんな感想が出ることを承知で、注目を集めたかったのでは?
「やはりインパクトは狙いました。5年前に発売した前作のカフェゼリーはネット上で『ドロリッチなう』という言葉も出るほど爆発的に売れた商品で、今回はそれ以上に販売数量が好調に推移しています。もちろん中身にも絶対の自信がありますが、CMの効果は大きいと感じています」
――ならば、今後さらにセクシーなCMバージョンを制作する予定は?
「そのような予定はありません。厳しいご意見は真摯に受け止めて、すべて会社の上層部まで上げていますので、今後は逆に柔らかい感じに変わるかもしれません(苦笑)」