7月に脳幹出血で倒れ、104日間の闘病の末、10月26日に亡くなった桑名正博さん(享年59)。桑名さんには前妻のアン・ルイス(56才)との間に長男・美勇士(31才)、妻・栄子さん(49才)との間に次男・錬(24才)がいるが、それ以外にもうひとりの息子、すなわち“隠し子”がいた。
その隠し子とは、ロックバンド・虹艶Bunnyでギターボーカルを務める露敏(ろびん・28才)。2006年、舞台で役者デビューを果たした彼は、翌年にはドラマ『演歌の女王』(日本テレビ系)などにも出演。さらには演出家・蜷川幸雄(77才)にもその才能を認められ、蜷川作品にも数多く出演している。今年3月からは、バンド活動に専念することを決めたミュージシャンだ。
桑名さんの妻・栄子さんに話を聞くと、「えっ!? 何のことですか!? 露敏くんのことは小さいころから知っていますが、桑名の友人の子と聞いてますけど…」と否定した。しかし、露敏が家族と暮らす都内の自宅を訪ねると、祖母が困った表情を浮かべながらも、こう答えてくれた。
「いろいろと問題が起こって迷惑をかけてはいけませんから、あの子は“父親”のことを口には出してこなかった。私たちは、あちらに迷惑がかかることは一切望んでいなかったので、認知はしてもらっていませんが、確かに桑名さんは露敏の父親ですよ…」
露敏の母親は、桑名さんがアンと別居中に知り合い、露敏を身籠もったという。そして、桑名さんがアンと離婚した1984年に、露敏は誕生している。父への思いを聞くために、露敏を訪ねると、当初は、「桑名さんのご家族は(父子関係を)知らないかもしれないので、迷惑をかけることになるから…」の一点張りだった。だが、“桑名さんの名誉を守るため、誤解を生まないために”と、重い口を開き、慎重に言葉を選びながら、答えてくれた。
「桑名さんが父親だと聞かされたのは、小学校低学年の頃だったと思います。音楽をやっている著名なかただとは聞いてたんですけど、当時のボクはまだ幼かったので、よくわかっていませんでした」
中学生ぐらいになると、テレビなどで桑名さんを見かけるようになり、“自分の父親”と認識するようになっていったという。そしてその頃、桑名さんと初めて会うことになる。
「母と一緒にライブに呼ばれたんです。でも、子供ながらに何かを察したんでしょうね…“お父さん”と呼ぶことはできませんでした」(露敏)
以降、彼は年1回ぐらいのペースで桑名さんと会うようになった。キャンプに行ったり、川で遊んだり…。それでも、父との触れ合いはごく限られたものだった。露敏はこう話す。
「物心ついたときから、“父親がいないことが当たり前”だったので、寂しさを感じたりすることや不幸だと思うことはありませんでした。でも、誕生日にプレゼントを贈ってくれたり、毎年のようにお年玉をもらったりするときに“気に懸けてくれているんだな”と父の温もりを感じることができました。それに言葉を交わさなくても、優しさは感じることができましたから…」
※女性セブン2012年11月22日号