民主党が目下、国会対策以上に力を入れているのが、離党対策である。ついに衆議院ではあと6人離党すると過半数割れという危機的状況にある。
そこで、臨時国会前に慌てて離党予備軍にポストをバラ撒いた。反主流派の赤松広隆氏には衆院テロ防止特別委員長、海江田万里氏には経済産業委員長、消費税造反組では川内博史氏に衆院文部科学委員長、福田衣里子氏に政調会長補佐という具合だ。
ところが、ここまでしても脇が甘いのがいまの民主党である。
10月末、民主党衆院議員15人の名前が書かれた「離党予備軍リスト」が永田町内に流布した。これを手にした民主党事務局側は、とんでもないミスを犯す。
「“彼らの動向に注意しろ”という意図で所属議員にリストをメール送信しようとしたところ、宛先を間違えて、よりにもよってリストに名前が挙がったある議員にメールを送ってしまった。メールを開いた議員は唖然としたそうです」(党政調関係者)
ポストの次は「メシをおごる」という古典的な作戦に出た。党国対から最近、執行部派の議員に「離党予備軍との食事会を開け」との指示が下ったのだ。
「名前の挙がった議員の事務所に食事会の日程調整の電話を入れる日々ですが、ほとんどは『何じゃそりゃ』と呆れられています」(中堅議員)
離党予備軍にそっぽを向かれた首相が最後にすがったのが新人議員たちだ。10月29日、首相は党の1年生議員を公邸に呼んで会食したが、「牛丼も食いにいけない」と愚痴るばかりで、前向きな話はほとんどなし。挙げ句、「菅(直人)さんも鳩山(由紀夫)さんも1年生議員との会食後に退陣した」と不吉なジンクスを囁かれる始末である。
※週刊ポスト2012年11月23日号