秋も深まり、スーパーや米穀店の店頭には各地の新米も勢揃いしている。かつては「やっかい道米」といわれ、消費者に不評だった北海道産だが、「ゆめぴりか」は、今や首都圏でも注目されているブランド米に成長している。甘みが豊かで、しつこくないもっちり感が特徴だ。
品種を開発した上川農業試験場の高宮泰宏研究部長が語る。
「気温の低い北海道のコメは、アミロースがどうしても高くなるため硬かった。ゆめぴりかは11年かけて品種改良した結果、アミロース含有量がコシヒカリより低く、粘りのあるコメを完成させることができました。コシヒカリに負けないコメ作りをプロジェクト化して30年、ようやく味に関しては追いついたと感じています」
生産者の一人で、「北海道米の新たなブランド形成協議会」会長の東広明氏も品質管理には自信をみせる。
「蛋白含有量7.4%以下のものに限定して出荷し、特A品質の保持に努めています。私自身、水田の土壌は3年ごとに検査し、農薬や肥料は北海道の規準の半分以下で作っています」
北海道では「ななつぼし」も同じく特A。粘りはあるものの、ゆめぴりかに比べるとさらっとしているため、道内では寿司屋のシャリにも重宝されている。
※週刊ポスト2012年11月23日号