ベストセラー『がんばらない』の著者で諏訪中央病院名誉院長の鎌田實氏は、チェルノブイリの子供たちへの医療支援などに取り組むとともに、震災後は被災地をサポートする活動を行っている。その鎌田氏が、アーノルド・シュワルツェネッガーの女性スキャンダルと視床下部との関係について解説する。
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アメリカの俳優であり、前カリフォルニア州知事でもあるアーノルド・シュワルツェネッガーは、65歳。日本でいうと、ベビーブームの先頭をいく高齢者である。シュワちゃんは、家政婦にちょっかいを出し、男の子を作った。
シルベスター・スタローンの妻になる前の、俳優ブリジット・ニールセンとも交渉があったなど、そのはちゃめちゃな女性関係が露呈して、現在、妻のマリア・シュライバーと離婚調停中である。こういう男大好き。
現生人類ホモ・サピエンスは38億年の進化の中に、今から10万年前に出現している。かつて人類は爬虫類だった時代もある。爬虫類にも脳があって、視床下部と呼ばれる中枢だ。これは人間の脳にもあり、人間も動物の一員なのだということをあらためて思い知らされる。
この視床下部は「食べる」「眠る」「セックスする」「闘う」といった本能の中枢である。大きな進化の流れの中で、人間は大脳皮質を肥大化させてきた。本能を大事にしながら、ほどほどになるようにバランスを保っているのである。食べたいからといって、欲望のままに食べ続けていると、生命を維持できない。ここが異常になると過食症になってしまう。
シュワちゃんは、衝動抑制障がいがあって、ブレーキ役の大脳皮質よりも爬虫類の脳の「セックスがしたい」という本能に当たる部分が肥大化しているのかもしれない。
ゴルファーのタイガー・ウッズも、少し前、セックス・スキャンダルの渦中にあった。数多くの女性たちとセックスをしまくった事実が出てきて、ゴルフでは冷静沈着なタイガーらしからぬ行動に、人々は違和感を覚えたものだ。タイガーは、爬虫類の脳が肥大化して、セックス依存症になっていたのかもしれない。そして、それがトーナメントで勝ち続ける要因になっていた可能性もある。
闘う中枢も大事だが、闘うだけでは生きてはいけない。大脳皮質がちゃんとコントロールしている必要があるのだ。そういえば、あれ以来、タイガーは優勝が少なくなってしまった。「セックスがしたい」という欲望の中枢は、「闘う」という中枢と隣り合わせにあるのだから、微妙に影響があったのかもしれない。
※週刊ポスト2012年11月23日号