11月9日までに風営法違反(禁止区域営業)容疑で警視庁保安課に逮捕された宇田東植容疑者(64=本名・朱東植)は、元プロ野球選手で1972年から1982年まで日本ハム、阪神でプレー。1983年には韓国リーグのヘテに移籍し、2年間在籍し、現役を退いた。
日本球界では現役11年で通算16勝(19敗)ながらも、引退後はテレビ埼玉の解説者として日本ハム戦の中継を担当。1998年の『12球団全選手百科名鑑』(日本スポーツ出版社)の「解説者ラインナップ」のコーナーにはこう書かれていた。
〈ドームのハム戦で顔を見ない日はないほど密着取材している。いつの間にか私設広報担当的存在で当然中身は濃い。10年目だ〉
宇田容疑者は2001年まで日本ハム戦の解説を担当していたが、2002年に韓国リーグの起亜タイガース(前身・ヘテタイガース)に招聘され、2年間投手コーチを務めた。この間に、日本ハムは本拠地を東京ドームから札幌ドームに移転することが決定。2004年からは「北海道日本ハムファイターズ」と名称を変えた。
韓国での役目を終えた宇田容疑者に、「東京ドームの日本ハム戦解説」というポジションはもうなかった。野球担当記者がこう解説する。
「解説者になり、唯一無二と思われるポジションを確立し、コーチとしてもお呼びがかかった。現役引退後のプロ野球選手としては順風満帆といえたはずです。
ただ、解説者のままでいれば、なにか問題を起こさない限り、簡単には契約が切れることはなかったでしょう。そこに、一度コーチとしてユニフォームを着てしまえば、まったく同じところに再就職するのは意外と難しい。よほどの大物であれば別ですが……」
野球人として、コーチの依頼がくれば喜び勇んで受けるのは当然のことかもしれない。だが、そのあいだに運命が変わってしまうこともある。