ストレスは現代人にとって、切っても切れない関係にあるが、著書に『50歳を超えても30代に見える生き方』(講談社)、などを持つ、国際アンチエイジング医学会名誉会長で、乳房専門『ナグモクリニック』総院長の南雲吉則医師(57才)が、ストレスの原因について教えてくれた。
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うつや機能性胃腸症など、ストレスが原因の病気を“現代病”と呼ぶくらい、現代では多かれ少なかれ、みんながストレスを抱えているよね。胃が痛くなったり生理不順になったり、ストレスによって引き起こされる症状も人それぞれ。
そもそもストレスって、物理的にいうと、外からの刺激によって体に生じた歪みのことをいうんだ。ゴムボールを押したときのへこみのようなものだね。これに例えて、心がへこむようなつらい出来事を“ストレス”、へこんだ心が元に戻ろうとするときに出る症状を“ストレス反応”と呼ぶようになったんだ。
ストレス反応の代表的なものが胃痛だよね。なぜ胃が痛くなるのかというと、ストレスがかかると体が“闘いモード”になって、交感神経が緊張状態になるからなんだ。
どういうことかというと、体のバランスを保っている自律神経には、“闘いモード”の交感神経と“お休みモード”の副交感神経がある。ご飯を食べると、消化・吸収のために副交感神経が優位になるから、眠くなるんだね。そのとき、胃の血流はよくなっている。逆に“闘いモード”のときは、胃の血流は悪くなるんだ。その結果、胃痛や胃潰瘍を引き起こしてしまうんだね。
また、夜になってもストレスでイライラしていると、“お休みモード”の副交感神経が働かないため睡眠不足になって、ますます疲労感がたまる。昼夜が逆転して時差ボケ状態になるとさらにホルモンバランスが崩れ、循環・呼吸・消化のバランスまで“でたらめ”になって、体調を崩してしまうんだ。
もうひとつ、ストレスに立ち向かうときは、腎臓の上にある副腎から、“闘いホルモン”である男性ホルモン(アンドロゲン)が分泌される。動物が闘うとき、皮膚が乾燥してると傷付きやすいよね。
そのためストレスがあると、皮脂の分泌が増え、額には吹き出物が、髪の生え際にはフケが出る。また、同じく男性ホルモンの作用によって生理不順になるんだ。ストレスは、こんなにも体に悪影響を及ぼすんだね。
※女性セブン2012年11月29日・12月6日号