落胆する者、ほくそ笑む者。この日の国会はあまりに落差が大きかった。野田佳彦首相の「16日解散」発言である。
思えば今年は「解散風」吹きっぱなしの1年。時の総理の「近いうちに」発言が風速を加速させたものの、だらだらと風は流れ、その間、政治は一向に動かず。このまま来年に持ち越しかと思われていたところの突如の突風である。
最後まで解散に反対した“強面”幹事長、約束を守れと迫る野党党首たち、“その日”の準備に気ばかり焦る第三極の面々、次の選挙で“落選”の影に怯える与党幹部──すべての思惑は一気に吹き飛ばされたのだ。
ネットでは間髪入れずに「あさって解散」「定数是正解散」と、ネーミングの話題で喧しいが、追い詰められた末の「自爆テロ解散」というところか。はたまた世間をアッといわせれば、下がり続ける支持率が上がるとでも思った「勘違い解散」か。いずれにしても微動だにしなかった政局が動いた。
撮影■太田真三
※週刊ポスト2012年11月30日号