「ミスター赤ヘル」の異名を持つ山本浩二氏(66)を監督に迎え、第3回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)に臨む「山本ジャパン」がスタートを切った。今回は、日本の3連覇という偉業がかかる非常に重要な大会。しかし、聞こえてくるのはどうも“良くない話”ばかりだ。
「山本浩二」と「日本代表」――このカップリングには、野球ファンはあまり良い思い出がない。2008年の北京五輪。山本氏は星野仙一監督のもと、守備走塁コーチとして代表チームに帯同した。結果はご存じの通り4位。メダルを逃し、田淵幸一氏を含めた3人の“仲良し内閣”は戦犯扱いされた。
「専門外のコーチを担当させられたので、確かに気の毒ではありましたが、ノックは下手、サインは覚えられないと散々でした」(スポーツジャーナリスト)
試合前の守備練習のノックでは、フライを上げようとするとゴロになり、キャッチャーフライが外野フライになる。試合に入るとサイン出しがかなり怪しかったうえ、落合博満氏には、「大会前に高代(延博氏・当時中日コーチ)にサインの出し方を聞きに来ていたくらいだし、あんなにわか仕込みじゃ相手国に見破られていたんじゃないの」とまでこき下ろされる始末だった。
「選手からも、“あれじゃ壊れた信号機じゃなくて、動かない信号機だ”なんて陰で笑われていた。最終的には、見かねたチームリーダーの宮本慎也(ヤクルト)が代わりにノックして、コーチャーズボックスに立っていた」(前出のジャーナリスト)
今度は経験もある監督だから安心……、ともいいきれない。10年間広島を率いて、リーグ優勝が1回(1991年)だけ。しかも、その適性にも疑問の声が上がっている。
「とにかく選手を知らないんです。特にパ・リーグ。T-岡田(オリックス)を見たときには、“ティーって何や?”と聞いていたし、首位打者を取った角中勝也(ロッテ)のことも知らなかった」(スポーツ紙記者)
今回の侍ジャパンに総合コーチとして東尾修氏を招き、コーチ陣に梨田昌孝、高代の両氏とパ・リーグ出身者を揃えたたのも、そのためなのか。本人は無邪気にも東尾氏に、「頼むでェ、パのことは分からんのやから」と話したという。
※週刊ポスト2012年11月30日号