ダルビッシュ有(レンジャーズ)や黒田博樹(ヤンキース)、岩隈久志(マリナーズ)など、メジャー所属選手が次々とWBC代表入りを辞退している。これはそもそも選手側には“出たら損”という事情があるからだ。
MLB選手は、シーズン中の故障者リスト(DL)入りが短ければ、ボーナスが出るという契約を結んでいることが多い。日本人選手ではダルビッシュも結んでおり、その内容は「年間30日間DL入りしなければ、80万ドル(約6400万円)のボーナスが出る」というものだ。
実は過去2回開催されたWBCに関して、こんなデータがある。第1回に出場したMLB選手の約3割が、その年のシーズン中にDL入り。前回ではこの数字が4割近くにまで跳ね上がっているのだ。WBC連覇で2回ともMVPに輝いた松坂大輔(レッドソックス)が、第2回大会後にどんなシーズンを送ったか、もはや説明の必要はないだろう。
「現在、WBCという大会の意義は、“各国選手の品評会”になりつつある。日本でいえばダルや西岡剛が活躍し、MLBへの道を開いた。今オフにメジャーに挑戦する藤川球児も、第1回大会でA・ロッドのバットを直球でへし折ったことの評価が米国で未だに高いから、代理人が海外FA宣言に踏み切ったとされています。
すでにメジャーにいる選手たちにとっては、よほどのことがない限り、ここでリスクを冒して出てアピールする必要などない。ただ逆に、他国のメジャーを目指す選手は必死になって向かってくる。国内組中心の布陣で日本が勝てるかどうか、不安は大きい」(スポーツジャーナリスト)
※週刊ポスト2012年11月30日号