“ミスター赤ヘル”山本浩二氏が監督に就任し、16日のキューバ戦から日本代表チームが始動した。山本浩二氏の監督としての技量を疑問視する声、メジャー選手の相次ぐ出場辞退など、3連覇を阻む声が数々挙がる中、さらに深刻なのは代表チームが直面している資金難の問題だ。WBCを戦ううえで、企業からの資金援助は欠かせない。しかし、それが思うように集まっていないのが現状だという。
「WBC参戦をめぐって、選手会との意思統一に時間がかかった。そのため、スポンサー集めに動き出すのが遅くなってしまった」(NPB関係者)
15日には、前回大会で公式スポンサーを務めたアサヒビールが、今回もサポートを継続することを発表した。しかし、同じく前回スポンサードした日本マクドナルドは、週刊ポストの取材に対し「現段階では予定はない」(広報部)と回答。依然として苦しい状況が続いている。
「選手会とのゴタゴタで、スポンサーになっても収益のほとんどをMLBに持って行かれることなどが白日の下に晒された。例えば五輪の場合、公式スポンサーになれば大会ロゴやキャラクターが自由に使えますが、WBCでは元締めのMLBが管理しており、それもままならない。企業側の腰が引けるのも頷けます」(大手広告代理店関係者)
大会に価値がないわけではない。前回は、2次ラウンドの韓国戦で平均視聴率40.1%という驚異的な数字を叩きだした実績がある。にもかかわらずこの状況となると、深刻さがわかる。
「さすがに本戦までにはもう少し集まるでしょうが、どうも“華”がない山本ジャパンは不安で仕方ない。集客力を示せればなんとか、とは思うのですが」(同前)
だが、その不安は早速的中してしまった。山本ジャパンは本番前の強化試合として、キューバとの対戦を2試合組んだが(11月16日ヤフードーム、18日札幌ドーム)、その初戦の前売り券は、前日までに1万枚しか売れなかった。いくら親善試合とはいえ、ファンからの関心の低さを露呈してしまったのだ。
選手のコマが足らず、カネがなく、関心も低いという今回の侍ジャパン。周囲の不安を知ってか知らずか、山本監督はこういっている。
「1次ラウンドで当たるキューバと、2次ラウンドで対戦する韓国のことを考えると夜も寝られないよ。まァ、昼間寝てるんだけどね」
※週刊ポスト2012年11月30日号