下げ止まらない視聴率の中、昼の時間帯に過去の人気番組の「再放送戦争」が勃発している。それは「夕方ニュース」の視聴率競争とも連動している動きだ。テレビ朝日の『スーパーJチャンネル』が好調だが、その一番の理由は、前の再放送ドラマ『相棒』の高視聴率にあるという。
この「再放送戦争」で踏んだり蹴ったりなのがフジテレビである。昨年までフジは、昼に人気韓流ドラマを2本連続で放送し、高視聴率を獲得していた。ところがネット右翼(ネトウヨ)を中心に巻き起こった「反韓流デモ」がお台場のフジ社屋周辺を占拠する騒動が発生。そのあおりか、昼の韓流ドラマは消えた。
「代わりに放送されている情報番組『知りたがり!』は視聴率1%台をウロウロする超低空飛行。その後、夕方のニュースまでにドラマを1本挟むのですがこれもイマイチの数字。今クール、キムタク(木村拓哉)主演の月9『PRICELESS』、山口智子の復帰ドラマ『ゴーイングマイホーム』をやってるから、露骨に2人が主演の『ロンバケ(ロングバケーション)』の再放送をやったんですが、ほとんど効果はなかった(笑い)」(フジ社員)
「反韓流デモ」は、昼~夕方にかけての視聴率以外にもフジに深刻な影響を及ぼしている。
朝の情報番組『とくダネ!』で、司会の小倉智昭氏が、自民党総裁に再選した安倍晋三氏がかつて腹痛を理由に辞任したことを「子供みたいだったもんね」と論評した。その後、ネット上で批判が集中。放送からわずか4日後に番組中で謝罪をすることになった。
「潰瘍性大腸炎という多くの人が苦しむ難病を揶揄したように取られたことも謝罪の理由ですが、背景には、ネット上での批判を過剰に恐れたこともある。安倍総裁は、ネット上で右翼的で過激な発言を繰り返す“ネトウヨ”“鬼女(既婚女性の略称)”と呼ばれる人々に強く支持されている。小倉さんへのクレームが盛り上がって、再び反韓流デモのような事態がおこることだけは避けたかったのではないか」(前出・フジ社員)
フジテレビ社員たちからは、地デジ化でテレビ朝日が10チャンネルから5チャンネル、テレビ東京が12チャンネルから7チャンネルとなり、8チャンネルのフジがテレビ欄の右端に追いやられてからというもの、「何をやってもついていない」との声が聞こえてくる。
「リモコンでチャンネルをスクロールするときに端っこだとなかなかチャンネルを合わせてくれない」(前出・フジ社員)からだという。
根本原因はもっと別のところにある気がするのだが。
※週刊ポスト2012年11月30日号